セッション情報 プレナリー セッション

胆道

タイトル PL-050:

肝内結石症診療の実際と問題点

演者 大屋 敏秀(労働者健康福祉機構中国労災病院消化器内科)
共同演者 田妻 進(広島大学総合内科総合診療科), 菅野 啓司(広島大学総合内科総合診療科), 中沼 安二(厚生労働科学研究費補助金難治性の肝胆道疾患に関する調査研究班肝内結石分科会), 坪内 博仁(厚生労働科学研究費補助金難治性の肝胆道疾患に関する調査研究班肝内結石分科会)
抄録 【背景・目的】肝内結石の診断と治療に関するmodalityは,多岐にわたる.厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究班における肝内結石分科会では,肝内結石診療の実態調査を行い,2009年に日本消化器病学会から提唱された胆石症診療ガイドラインの妥当性について検討を行った.【方法】研究協力施設(25施設/210症例)のアンケート調査の回答を集計し解析を行った.【結果】肝内結石症において,有症状例は128例(61%),胆管手術の既往例は,128例(61%)であった.診断方法は胆石症ガイドライン・診断フローが推奨する拾い上げ検査(US,XP)は,35.9%,二次検査(CT,MRCP)は44.1%,三次検査(ERCP,EUS)は19.7%であった.一方,治療方法では,積極的介入は146例(70%)に行われ,内科的治療(内視鏡治療,ESWL,薬物療法)が138例,外科的治療(肝切除ほか)28例であった.合併症は,50例(23.8%)肝内胆管癌を5例に認めた.これらは,過去2回の調査に比較して症例総数は減少しておらず,積極的治療介入は増加していた.中でも,内視鏡治療を主体とする内科的治療の選択が明らかに増加していた.本調査結果から1)肝内結石治療症例は増加傾向にあり,2)内視鏡治療を主体とする内科的治療例の増加が確認された.また,3)長期予後として肝内胆管癌の発生が2.5%で認められた.【結論】肝内結石診療の実態として,内視鏡治療を主体とした非手術的治療の選択が増加していることが判明し,ガイドライン治療フローにおける位置付けを考慮する必要と考えられた.また,2007年同研究班(跡見班)の調査報告から,肝内胆管癌リスクの検討で,肝切除とUDCA治療における癌発生率の有意な低下が示されており,両者の優位性を考慮した改訂が必要と考えられた.
索引用語