セッション情報 |
プレナリー セッション
膵臓
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タイトル |
PL-058:血清中hTERT mRNA測定は,膵癌診断能を向上する
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演者 |
松本 和也(鳥取大学消化器内科) |
共同演者 |
三浦 典正(鳥取大学薬物治療学), 原田 賢一(鳥取大学消化器内科), 武田 洋平(鳥取大学消化器内科), 斧山 巧(鳥取大学消化器内科), 植木 賢(鳥取大学消化器内科), 村脇 義和(鳥取大学消化器内科) |
抄録 |
【背景】膵癌診療ガイドラインによると,膵癌治療開始前の確定診断が望ましいとされる.なかでも膵腫瘤に対する超音波内視鏡下穿刺吸引生検(以下EUS-FNA)は,正診率85~91%とされているが,約10%を正診できないことが課題である.またEUS-FNA施行可能な施設は限られており,現行の膵癌に対するバイオマーカーの正診率は70%程度と満足できるものではない.したがって,サロゲートマーカーの開発が求められている.我々は,ヒト血清中から微量のmRNAを抽出し,特定の遺伝子発現を定量化する方法を確立し,肝細胞癌のバイオマーカーとしてhuman telomerase reverse transcriptase mRNA(以下hTERT mRNA)の臨床的有用性を報告してきた(BMC gastroenterology, 18;10:46,2010).【目的】膵癌疑い症例に対して,膵癌のバイオマーカーとしてhTERT mRNAの臨床的意義を検討した.【対象と方法】2011年12月より2012年9月までに当院で経験した膵癌疑い症例47例(膵癌27例,非膵癌20例).血清からの細胞成分の除去(遠心分離)後,DNase処理を伴うRNA抽出・精製し,SYBR Green Iを用いたReal-time OneStep RT-PCR法を施行し,hTERT mRNAを定量した.【結果】hTERT mRNAによる膵癌診断能は,ROC曲線解析でカットオフ値を903(copy/血清10μl)と設定した場合,感度92.6%(25/27),特異度77.8%(15/20),陽性的中率83.3%(25/30),陰性的中率88.2%(15/17),正診率85.1%(40/47)と良好な成績であった.膵癌における腫瘍径,T因子による感度は,TS1/TS2/TS3で(TS4症例はなし),71.4%(5/7)/100%(16/16)/100%(4/4),T1/T2/T3/T4で50%(1/2)/100%(2/2)/100%(5/5)/94.4%(17/18)と,TS1症例や膵内に限局するT1/T2症例などの切除可能症例でも良好な感度を確認した.【結語】血清中hTERT mRNA測定は,早期膵癌の診断にも有用で,現行の膵癌に対する腫瘍マーカーを凌駕する可能性が示唆された. |
索引用語 |
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