セッション情報 | プレナリー セッション膵臓 |
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タイトル | PL-059:RUNX3欠失はmultidrug resistant protein発現を介してgemcitabine感受性に影響を与える |
演者 | 堀口 繁(岡山大学病院消化器肝臓内科) |
共同演者 | 白羽 英則(岡山大学病院消化器肝臓内科), 内田 大輔(岡山大学病院消化器肝臓内科), 永原 照也(岡山大学病院消化器肝臓内科), 片岡 淳朗(岡山大学病院消化器肝臓内科), 岩室 雅也(岡山大学病院消化器肝臓内科), 松原 稔(岡山大学病院消化器肝臓内科), 加藤 博也(岡山大学病院消化器肝臓内科), 高木 章乃夫(岡山大学病院消化器肝臓内科), 能祖 一裕(岡山大学病院消化器肝臓内科), 八木 孝仁(岡山大学病院肝胆膵外科), 山本 和秀(岡山大学病院消化器肝臓内科) |
抄録 | 【目的】膵癌は発見時既に手術不能であるか,手術しても早期に再発する事が多く予後は極めて悪い.術後に化学療法を行うも成績は不満足なものである.RUNX3は胃癌で発見された癌抑制遺伝子であり様々な癌で報告されている.本研究ではRUNX3欠失が膵臓癌の予後に及ぼす影響を検討し,そのメカニズムをgemcitabine(GEM)感受性の面から検証した.【方法】当院で手術を施行した36例の膵癌検体を用いて免疫組織化学でRUNX3発現陽性群と陰性群に分けて予後との関係を検討した.In vitroではRUNX3陰性と陽性の膵癌株にRUNX3を各々トランスフェクション,またはノックダウンして,RUNX3の発現とGEM感受性の関係をMTTアッセイで検討した.同じ細胞を用いてRUNX3発現とmultidrug resistant protein(MRP)の発現との関係をwestern blotにて検討した.In vivoではSCIDマウスの皮下にRUNX3陰性細胞とRUNX3をトランスフェクションした細胞を接種し2ヶ月後の腫瘍形成を比較した.【結果】膵癌の53%にあたる19例がRUNX3陽性であり,陽性群において有意に予後の延長を示した(1006日vs 699日 p=0.0468).In vitroの実験ではRUNX3をトランスフェクションした細胞においてGEM感受性が改善した.Western blot及びアレイデータベースであるOncomineを用いた解析にてRUNX3とMRPの発現には負の相関関係が認められた.SCIDマウスにおいて,RUNX3陽性細胞の方が陰性細胞より腫瘍形成能は低くRUNX3はtumorigenesis抑制効果があると考えられた.RUNX3はMRPの発現も抑制することから癌幹細胞にも影響を与える可能性があると考えられた.【結論】RUNX3発現低下は膵臓癌においてMRP発現を誘導し,GEM感受性を低下させると考えられた. |
索引用語 |