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大腸 腫瘍

タイトル PL-062:

オキサリプラチンに対する過敏反応発現の現況とその対応―前処置薬の強化,脱感作療法により治療継続は可能か―

演者 石川 剛(京都府立医科大学消化器内科学)
共同演者 岡山 哲也(京都府立医科大学消化器内科学), 吉田 直久(京都府立医科大学消化器内科学), 鎌田 和浩(京都府立医科大学消化器内科学), 堅田 和弘(京都府立医科大学消化器内科学), 内山 和彦(京都府立医科大学消化器内科学), 高木 智久(京都府立医科大学消化器内科学), 半田 修(京都府立医科大学消化器内科学), 小西 英幸(京都府立医科大学消化器内科学), 八木 信明(京都府立医科大学消化器内科学), 古倉 聡(京都府立医科大学消化器内科学), 内藤 裕二(京都府立医科大学消化器内科学)
抄録 【背景】大腸癌化学療法においてOxaliplatin(L-OHP)投与に伴う過敏反応の発現は治療継続の大きな障害となっている.本研究では,当院におけるL-OHPに対する過敏反応発現状況を検討し,その危険因子を明らかにするとともに,過敏反応発現例へのL-OHP再導入における前投薬強化および脱感作療法の有用性について検討した.【方法】2006年3月から2012年6月までに当院外来化学療法センターにおいてL-OHPが投与された162例(男/女=88/74)を対象とした.過敏反応発現群,非発現群間で,患者背景(年齢,性,PS,病期,アレルギー歴,L-OHP投与量,前治療歴,血液検査所見等)を比較検討した.また,過敏反応発現例に対するL-OHP再投与の状況についても検討した.【結果】162例のうち28例(17.3%)にL-OHPによる過敏反応(Grade1/2/3/4=16/2/9/1)を認めた.過敏反応発現までのL-OHP総投与量は301-1126 mg/m2(中央値581mg/m2),発現時期は5-17コース(同8)であった.過敏反応発現例のうちL-OHP再投与を行ったのは10例で,7例は前投薬強化で再導入を試み,4例は導入できたが,うち2例は治療中過敏反応が再現し中止した.3例に脱感作療法(総投与量の1/10,000から漸増し計8時間で投与)を行い,全例再導入可能であった.過敏反応発現の危険因子を治療前の背景因子を説明変数として解析したところ,末梢血好酸球数,ALP値が危険因子として抽出された.【結語】L-OHPに対する過敏反応発現例への前投薬強化による再導入成功率は既報でも高率ではないが,過敏反応発現が高まる6コース目より前投薬を強化することで発現を予防できる可能性が示唆されている.過敏反応発現例の予測および脱感作プロトコルの確立は進行大腸癌の治療成績向上に大きく寄与するものであり,文献的考察を踏まえ,これらの現状の問題点と今後の可能性についても言及したい.
索引用語