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大腸 腫瘍

タイトル PL-063:

高齢者結腸癌腹腔鏡手術の意義:腹腔鏡手術は消化管運動を早期に回復させる

演者 山田 岳史(日本医科大学消化器外科)
共同演者 内田 英二(日本医科大学消化器外科), 小泉 岐博(日本医科大学消化器外科), 菅 隼人(日本医科大学消化器外科), 松本 智司(日本医科大学千葉北総病院外科), 進士 誠一(日本医科大学消化器外科), 松田 明久(日本医科大学千葉北総病院外科), 佐々木 順平(日本医科大学千葉北総病院外科), 谷 杏彌(日本医科大学消化器外科), 原 啓介(日本医科大学消化器外科)
抄録 【背景】高齢化が進み高齢者手術の安全性確保は重要な課題である.First truck surgeryの概念が導入され,早期回復の重要性が提唱されているが,高齢者では特に術後禁食期間が長引くことで術後合併症の発症率が増加することが懸念されるため,積極的に早期回復を計る必要がある.結腸癌腹腔鏡手術は広く行われ,低侵襲であり術後の早期回復が得られると考えられているが,手術時間の長さから超高齢者への適応には否定的な意見もある.我々は特に腸管蠕動麻痺の早期回復に注目し周術期管理を行っており,放射線不透過マーカーを20個内包するSITZ MARKS(マーカー)を用い,術後消化管運動を評価している.【目的】高齢者(75歳以上)の腹腔鏡手術と開腹手術の術後消化管運動を比較検討する.【方法】周術期のマーカー内服についてはIRBの認可を受けた.対象は2009年7月から2012年5月までにマーカー内服につき承諾が得られ,結腸癌待機手術が行われた239例(高齢者78例).執刀前にマーカーを内服させ,術後1,3,5,7日目に腹部単純X-pを撮影し,全残存マーカー数および小腸内残存マーカー数をカウントした.【結果】(1)高齢者と非高齢者の比較:小腸内残存マーカー数は4日とも差を認めなかった.全残存マーカー数はDay7のみ高齢者で有意に多かった.(2)高齢者における腹腔鏡手術と開腹手術の比較:全残存マーカー数は4日とも差を認めなかったが,小腸内残存マーカー数はDay1,Day3,Day5において有意に腹腔鏡手術症例で少なく,Day7では有意差を認めないものの腹腔鏡手術で少ない傾向を認めた(p=0.014,0.001,0.003,0.083).【結語】高齢者においても腹腔鏡手術では術後消化管運動を早期に回復させ,年齢を理由に腹腔鏡手術を回避すべきではない.
索引用語