セッション情報 | プレナリー セッション大腸 腫瘍 |
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タイトル | PL-065:APC遺伝子変異が大腸癌の代謝プロファイルに与える影響についての検討 |
演者 | 吉江 智郎(神戸大学消化器内科) |
共同演者 | 西海 信(神戸大学消化器内科), 孝橋 道敬(神戸大学消化器内科), 小林 隆(神戸大学消化器内科), 池田 篤紀(神戸大学消化器内科), 坂井 文(神戸大学消化器内科), 大井 充(神戸大学消化器内科), 塩見 優紀(神戸大学消化器内科), 吉田 優(神戸大学消化器内科), 東 健(神戸大学消化器内科) |
抄録 | 【目的】大腸癌において,APC遺伝子の変異がWntシグナル伝達系における標的遺伝子の恒常的な発現を引き起こすことが知られている.今回我々は,APC遺伝子変異を有するマウス,ならびに,培養細胞における低分子代謝物を解析することで,APC遺伝子変異によって誘導される代謝物の変動について検討し,病態との関連性について評価した.【方法】培養細胞実験では,変異型APC遺伝子を保有するヒト大腸癌細胞株SW480細胞と,新たに正常APC遺伝子を導入したSW480細胞株を用いた.また,大腸腺腫症モデルマウスであるAPCmin/+マウスを用いた.これら検体から低分子代謝物を抽出し,ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)を用いて代謝物解析を行った.また,変動した代謝物をSW480細胞に処理することにより,細胞増殖能に与える影響について検討した.【結果】マウス血清中において検出できた14種類のアミノ酸のうち,10種類のアミノ酸の存在量が野生型マウスと比較してAPCmin/+マウスで有意に上昇しており,腸組織においても大部分のアミノ酸が,野生型マウスと比して増加傾向であった.また,APC遺伝子変異により,クエン酸回路の中間代謝物が増加することが培養細胞実験により確認できた.APC遺伝子変異により有意な減少を認めたribitolをSW480細胞に作用させた結果,APC遺伝子変異を有するSW480細胞に対してのみ細胞増殖を抑制した.一方,APC遺伝子変異によって増加を認めたsarcosineをSW480細胞に作用させたところ,細胞増殖能亢進を認めた.【結論】本実験により,APC遺伝子変異によってアミノ酸代謝やクエン酸回路などのエネルギー代謝に関与するシグナルが変動することが示唆された.また,APC遺伝子変異に基づく代謝物の変動が,結果として細胞増殖に対して有利に働く可能性も示唆された. |
索引用語 |