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大腸 感染・他

タイトル PL-067:

研究協力病院におけるClostridium difficile関連下痢症の発生状況

演者 高橋 正彦(国立病院機構東京医療センター消化器内科)
共同演者 尾藤 誠司(国立病院機構東京医療センター総合内科), 高取 祐作(国立病院機構東京医療センター消化器内科), 佐藤 道子(国立病院機構東京医療センター消化器内科), 作野 隆(国立病院機構東京医療センター消化器内科), 木下 聡(国立病院機構東京医療センター消化器内科), 岩畔 慶太(国立病院機構東京医療センター消化器内科), 菊池 美穂(国立病院機構東京医療センター消化器内科), 西澤 俊宏(国立病院機構東京医療センター消化器内科), 藤山 洋一(国立病院機構東京医療センター消化器内科), 中村 光康(国立病院機構東京医療センター消化器内科), 金子 博(国立病院機構東京医療センター消化器内科)
抄録 【目的】Clostridium difficile(C. difficile)は抗菌薬や抗悪性腫瘍薬使用に関連する下痢・腸炎の主要な原因菌であると同時に重要な院内感染菌である.近年C. difficile関連下痢症(CDAD)は欧米で大きな疫学的変化がみられているが,我が国での発生状況は不明な点が多い.本研究は研究協力病院でのCDADの発生状況と感染予防対策の実施状況を調査し,更に感染予防対策の差がCDADの発症にどう影響するかを検討する.【方法】2010年11月1日から2011年10月31日までに研究協力47施設でCDADと診断された満18歳以上の入院患者を原則全数,連続的に登録した.登録前に研究協力施設には感染予防対策に関する施設アンケートを実施した.【成績】研究協力47施設中42施設から計1027例のCDAD症例が登録された.研究協力施設は299床以下が8施設,300-499床が25施設,500床以上が14施設でそれぞれ111例,420例,496例のCDAD登録があった.施設アンケートよりCDADに対する院内感染対策マニュアルの有無,CDAD院内サーベイランスの有無,感染症専門医の有無,感染管理看護師の有無,病棟手洗い場の水道は蛇口に触れずに開閉できるか,CDAD患者をMRSA等と同様に感染症扱いにしているか,CD患者標識の有無,CDAD患者の病室・トイレの清掃・消毒方法が一般病棟と違うか,抗菌薬サーベイランスの有無,C. difficile勉強会の有無に関して,1000床あたりの年間CDAD登録数で比較した.CD患者標識以外は全項目においてCDAD対策を取っている施設ほどCDAD発生率が高い傾向にあったが統計学的な有意差は認められなかった.【結論】日本全国の施設でCDADの発症が確認された.適切な感染予防対策によって院内感染を含めたCDAD発症率の低下が期待できるが,同時に見落とされていたCDAD患者が正しく診断されることで有病率は上昇する可能性があると考えられた.
索引用語