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大腸 感染・他

タイトル PL-068:

Citrobacter rodentium腸炎におけるTL1Aの役割

演者 大嶋 直樹(島根大学内科学第二講座)
共同演者 石原 俊治(島根大学内科学第二講座), 園山 浩紀(島根大学内科学第二講座), 多田 育賢(島根大学内科学第二講座), 楠 龍策(島根大学内科学第二講座), 岡 明彦(島根大学内科学第二講座), 福庭 暢彦(島根大学内科学第二講座), 結城 崇史(島根大学光学医療診療部), 川島 耕作(島根大学内科学第二講座), 木下 芳一(島根大学内科学第二講座)
抄録 【目的】TL1A(TNFSF15)は2002年に同定されたTNFスーパーファミリーの一つであり,クローン病患者の炎症部位に多く発現し,Th1およびTh17細胞を活性化することによって腸炎を制御するサイトカインである.また,炎症性腸疾患の発症には腸管内の細菌に対する免疫応答の異常が関与していると言われている.過去に我々は腸管感染性細菌がヒトの抗原提示細胞においてTL1Aの発現を誘導することを報告しているが,腸管感染症におけるTL1Aの役割は明らかになっていない.そこでヒトにおける腸管病原性大腸菌に相当するCitrobacter rodentiumのマウス感染モデルを用いて,感染性腸炎におけるTL1Aと腸管免疫応答のメカニズムを検討した.【方法】野生型およびTL1Aノックアウト(KO)マウスに対してC.rodentiumを経口感染させ,各臓器への浸潤,腸管組織像の検討を行った.また,粘膜固有層の単核球(LPMC)を抗CD3/CD28抗体で刺激し,上清中の各種サイトカインをELISA法で測定した.さらに,骨髄由来のマクロファージ(BMMPh)とC.rodentiumを共培養し,食作用の機能を検討した.【結果】C.rodentium感染に対して,TL1A KOマウスにおいて有意に生存期間が延長し,腸管炎症も軽度であった.KOマウスの各種臓器へのC. rodentium浸潤も軽度であり,LPMCにおけるサイトカイン産生も抑制されていた.また,KOマウスのBMMPhにおいて食作用の増強を認めた.【結論】TL1AはC.rodentium腸炎において感染制御に関わる重要な役割を担っている可能性が示唆された.
索引用語