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大腸 感染・他

タイトル PL-070:

当院における腸管嚢胞状気腫症の50例の検討

演者 齋藤 大祐(杏林大学医学部第3内科)
共同演者 林田 真理(杏林大学医学部第3内科), 三浦 みき(杏林大学医学部第3内科), 櫻庭 彰人(杏林大学医学部第3内科), 山田 雄二(杏林大学医学部第3内科), 徳永 健吾(杏林大学医学部第3内科), 小山 元一(杏林大学医学部第3内科), 高橋 信一(杏林大学医学部第3内科)
抄録 【目的】腸管嚢胞状気腫症(pneumatosis cystoides intestinalis;PCI)は,腸管壁の粘膜下あるいは漿膜下に多房性あるいは直線状の含気性嚢胞を形成する比較的稀な疾患である.近年は画像診断の進歩に伴い報告例が増加しており,本邦では現在までに600例以上が報告されている.今回われわれは当院で経験したPCIについて検討した.【方法】2007年9月から2012年8月までの5年間に当院で診断されたPCI50症例を対象とし,性別,年齢,病変部位,症状,治療,患者背景などについてretrospectiveに検討した.【結果】男女比は26:24,年齢中央値は64.7歳.診断はCT検査42例,大腸内視鏡検査8例でそれぞれなされた.病変部位は胃2例,小腸16例,上行結腸24例,横行結腸4例,下行結腸2例,S状結腸2例.腹腔内遊離ガスは18例,門脈ガス血症(HPVG)は9例で認めた.特発性18例,続発性32例であり,続発性における基礎疾患は糖尿病11例,悪性腫瘍8例,腸管壊死疾患7例,膠原病7例,便秘症1例,慢性閉塞性肺疾患1例,イレウス1例であった.また腸管壊死7例のうち6例でHPVGが合併していた.PCIの原因とされる薬剤に関して,ステロイドは11例,α-グルコシダーゼ阻害剤は11例で投与されていた.有症状は27例であり,症状は腹部膨満7例,腹痛16例,発熱2例,下痢2例,黒色便1例であった.34例は入院で治療されており,絶食,腸管蠕動薬,酸素投与などの保存的治療24例,開腹手術10例であった.【考察】PCIは無症状で経過し自然消失する軽症例がほとんどであり,保存的治療が原則である.不必要な侵襲的治療は避けるべく,手術適応の判断が重要であるが,特にPCIとHPVGの合併については腸管壊死を原因疾患として疑い,速やかに緊急手術の適応を見極めることが重要であると考えられた.本疾患の病態は不明な点も多く,さらなる症例の集積と検討が必要であると考えられ,今後の病態解明ならびに治療法の確立が期待される.
索引用語