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大腸 感染・他

タイトル PL-072:

高脂肪食下APCmin/+マウスに対する抗IL-6受容体抗体投与が腫瘍の発育進展に与える影響

演者 矢尾板 孝夫(山形大学医学部内科学第二講座)
共同演者 佐々木 悠(山形大学医学部内科学第二講座), 吉澤 和哉(山形大学医学部内科学第二講座), 佐藤 剛司(山形大学医学部内科学第二講座), 名木野 匡(山形大学医学部内科学第二講座), 岩野 大輔(山形大学医学部内科学第二講座), 八木 周(山形大学医学部内科学第二講座), 水本 尚子(山形大学医学部内科学第二講座), 菅野 奈々(山形大学医学部内科学第二講座), 西瀬 祥一(山形大学医学部内科学第二講座), 武田 弘明(山形県立中央病院内科(消化器)), 河田 純男(兵庫県立西宮病院), 上野 義之(山形大学医学部内科学第二講座)
抄録 【目的】我々は,メタボリックシンドロームの病態の中心的な役割を果たす内臓脂肪蓄積型肥満やそれに伴うインスリン抵抗性,高インスリン血症,アディポネクチンの低下が,大腸腫瘍のリスクに関わってきていることを報告してきた.この病態にかかわる機序は明確ではないが,IGF-1やインスリンによる細胞増殖促進やアポトーシスの抑制が重要な役割を果たしていると考えられている.さらに近年,メタボリックシンドロームの基盤病態として慢性の全身性の低炎症状態が注目されている.我々は大腸腺腫患者で炎症性アディポサイトカインであるIL-6が高く,高IL-6血症がインスリン抵抗性と独立した腺腫のリスク因子であることを報告した.そこで今回,高脂肪食下のAPCmin/+マウスのオスに抗IL-6受容体抗体(MR16-1)を投与し,腫瘍の発育進展に与える影響を検討した.【方法】1)5週齢で高脂肪食群(HF),通常食群(ND)に分け,16週齢で解剖し腸管のポリープの数,大きさ,血漿中IL-6濃度を比較した.2)高脂肪食下に6週齢からMR16-1投与群,コントロールとしてPBS投与(A)群,rat IgG投与(B)群に分けた.15週齢まで週1回それぞれを腹腔内投与した.16週齢で解剖しポリープの大きさ,個数を比較した.【結果】1)HF群はND群に比べ,ポリープ数が有意に多く(81±20 vs. 60±24個,p<0.01),IL-6が有意に高値であった(10±5 vs. 5±2 pg/ml,p<0.01).2)ポリープ数はMR16-1群54±16個で,A群86±21個,B群87±38個と比較して有意に少なかった(p<0.05).また,2 mm以上のポリープはMR16-1群7±2個で,A群32±13個,B群32±5個と比べ有意に少なかった(p<0.01).【結語】今回の実験では,IL-6受容体抗体の投与が高脂肪食下のAPCmin/+マウスの腫瘍の発育進展を抑制する可能性が示唆された.
索引用語