セッション情報 口演

膵腫瘍1

タイトル O-003:

膵管内乳頭粘液性腫瘍に合併した膵癌の検討

演者 高畠 央(公立松任石川中央病院消化器内科)
共同演者 友影 美貴(公立松任石川中央病院消化器内科), 西川 昌志(公立松任石川中央病院消化器内科), 浅井 純(公立松任石川中央病院消化器内科), 卜部 健(公立松任石川中央病院消化器内科)
抄録 【背景】膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMNs)は比較的予後良好な腫瘍とされる.しかしIPMNsはそれ自体が癌化する(IPMC)ことがある一方で通常型膵癌(IDCs)の高リスク群でもある.また主膵管型IPMN(MD-IPMN)はその悪性度から手術適応とされるのに対して,分枝型IPMN(BD-IPMN)は2006年ガイドラインにおいて診療アルゴリズムが提唱されており,多くの症例で経過観察がなされている.今回,当院で診断したBD-IPMN合併膵癌(IPMC+IDCs)について報告する.【対象】2006年4月1日から2012年7月31日までの期間中,当院で診断したBD-IPMN20症例を対象として膵癌(IPMC+IDCs)を合併した3症例を中心にその患者背景,臨床経過などを後ろ向きに検討した.【結果】BD-IPMN20症例の患者背景は,年齢が77.9±8.6歳,男女比12/8例,最大嚢胞径23.2±10.7mm,主膵管径4.0±2.6mm,壁在結節あり3例,多発性嚢胞14例であった.ガイドライン上は外科切除の適応となる症例は9例あったが,7例で手術拒否・高齢・PS低下を理由に経過観察となり,外科切除した1例も膵管内乳頭粘液性腺腫(IPMA)であった.この中で1例(11.1%)に膵癌を合併した.逆に外科切除の適応とならない11例のうち2例(18.2%)に膵癌を合併した.膵癌合併の患者背景は,84歳男性/76歳女性/82歳女性で,最大嚢胞径は25/16/14.8mm,主膵管径7.9/2.8/2.0mm,すべての症例に壁在結節はなく,多発性嚢胞であった.膵癌合併までの期間は50/60/23か月,膵癌診断前の検査はPET-CT(3か月前)/MRI(4か月前)/MRI(8か月前)を施行していた.病期(UICC-TNM第7版)は2A期/2B期/4期であり,1例(76歳女性)は化学療法を行ったが,2例はコントロール不能な他疾患,高齢・PS低下を理由に緩和医療となった.予後はいずれも不良であり,膵癌合併からの生存期間は1か月(他病死)/8か月,1か月であった.【結語】IPMNはIPMC,IDCsを合併する高リスク群である.ガイドラインを遵守することが第一だが,個別化した診療も重要である.
索引用語