セッション情報 口演

膵腫瘍2

タイトル O-007:

EMT関連因子はIPMNの悪性度,予後に関与する

演者 石川 大地(徳島大学消化器移植外科学)
共同演者 島田 光生(徳島大学消化器移植外科学), 宇都宮 徹(徳島大学消化器移植外科学), 森根 裕二(徳島大学消化器移植外科学), 池本 哲也(徳島大学消化器移植外科学), 森 大樹(徳島大学消化器移植外科学), 荒川 悠佑(徳島大学消化器移植外科学), 金本 真美(徳島大学消化器移植外科学), 岩橋 衆一(徳島大学消化器移植外科学), 淺野間 理仁(徳島大学消化器移植外科学), 山田 眞一郎(徳島大学消化器移植外科学), 佐藤 宏彦(徳島大学消化器移植外科学), 三宅 秀則(徳島大学消化器移植外科学)
抄録 【背景】上皮間葉移行(EMT)関連因子は種々の悪性腫瘍で浸潤,遊走,転移に密接に関わる予後規定因子であると報告されているが(Nature Cell Biol. 2012),膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)においては,これまでEMTとの関連についての報告はない.そこで今回,IPMNにおけるEMT関連因子(Twist1,Bmi1,Snail,CXCR4)の発現の意義について検討したのでこれを報告する.【方法】当科で手術施行したIPMN症例18例を対象に,腫瘍部におけるEMT関連因子(Snail,Twist1,Bmi1,CXCR4)の発現を免疫組織化学染色で評価し,陽性群,陰性群に分類して臨床病理学的因子との関連を比較検討した.【結果】IPMN症例の内訳は膵管内乳頭粘液腺腫(IPMA)7例,境界病変(IPMB)2例,膵管内乳頭粘液腺癌(IPMC)9例であった.Twist1陽性例は7例(38.9%),Bmi1陽性例は11例(61.1%),Snail陽性例は10例(55.6%),CXCR4陽性例は7例(38.9%)であった.これらEMT関連因子はIPMNの型(主膵管型,分枝型)や嚢胞の性状(多胞性,単胞性),嚢胞径,壁在結節の有無,腫瘍マーカー(CEA,CA19-9,Dupan2,Span1)との相関は認めなかった.Twist1発現は病理学的悪性度と有意に相関したが(p<0.05),Snail,CXCR4では相関を認めなかった.無再発生存率においては単変量解析の結果,性,嚢胞のタイプ,CA-19-9値,Bmi1発現で有意差を認め(p<0.05),これらをさらに多変量解析で検討した結果,Bmi1高発現のみ予後規定因子として抽出された(p=0.05).【結語】IPMNにおいてはEMT関連因子のうち,Twist1発現は悪性度に関与する因子であり,Bmi1高発現は新たな予後予測因子となりうると考えられた.
索引用語