セッション情報 口演

膵癌

タイトル O-009:

膵胆道癌による悪性十二指腸狭窄に対する十二指腸ステント留置術の検討

演者 貝瀬 智子(東京女子医科大学消化器内科)
共同演者 高山 敬子(東京女子医科大学消化器内科), 塩賀 太郎(東京女子医科大学消化器内科), 門前 正憲(東京女子医科大学消化器内科), 長尾 健太(東京女子医科大学消化器内科), 田原 純子(東京女子医科大学消化器内科), 清水 京子(東京女子医科大学消化器内科), 白鳥 敬子(東京女子医科大学消化器内科)
抄録 【目的】悪性胃十二指腸狭窄の治療は外科的吻合術が標準とされてきたが,経内視鏡的十二指腸ステントが保険収載され施行報告例が急増している.今回当院における悪性胃十二指腸狭窄に対する十二指腸ステント留置術を検証した.【方法】2012年7月までに悪性十二指腸狭窄に対し十二指腸ステント留置術を施行した9例(平均年齢67.1歳,男性6例,女性3例)を対象に,原疾患,Performance Status(PS),狭窄部位,狭窄長,手技成功率,偶発症,食事摂取状況,開存期間,栄養状態(TP,Alb,Hb),体重変化の各項目につき検証した.十二指腸ステントはWallFlex duodenal stent(Boston Scientific)を用いた.食事摂取状況はGastric Outlet Obstruction Scoring System(GOOSS)で評価した.【結果】原疾患は膵頭部癌,膵体部癌,膵尾部癌,下部胆管癌が各々5,3,0,1例であった.PS 0,1,2,3が各々2,3,3,1例であった.狭窄部位は球部,上十二指腸角,下行脚,水平脚,術後吻合部が各々1,4,1,2,1例で,狭窄長は平均19.4mmであった.手技成功率は100%で,偶発症は出血と胆管炎を各1例認めたが,出血は少量で貧血の進行は無く,胆管炎は軽症で絶食と抗生剤で改善した.穿孔やステント脱落は認めなかった.食事開始までは平均2.2日で,GOOSSは留置前で0,1,2,3が各々6,1,1,1例,留置後で2,3が各1,8例と有意に改善した.ステント開存期間は平均3.5ヵ月で,経過中2例にステント閉塞を来たしたが,いずれもstent in stentにより食事摂取可能となった.栄養状態は留置後1ヶ月は留置前と不変または改善を認めたが,2ヶ月以降は悪化した.体重変化は留置後1ヶ月で平均+0.03kgであった.【結論】十二指腸ステント留置術は重篤な偶発症を起こすことなく施行でき,有意な食事摂取状況の改善を認め,患者のQOL向上に有効であると考えた.今後もさらなる症例の蓄積を行い,ステントの適応時期,栄養状態の保全のための工夫を行っていく必要があると考えた.
索引用語