セッション情報 口演

膵癌

タイトル O-010:

生活習慣病を含む膵管癌のリスクファクターの検討

演者 武田 洋平(鳥取大学医学部機能病態内科学)
共同演者 八島 一夫(鳥取大学医学部機能病態内科学), 斧山 巧(鳥取大学医学部機能病態内科学), 松本 和也(鳥取大学医学部機能病態内科学), 河口 剛一郎(鳥取大学医学部機能病態内科学), 原田 賢一(鳥取大学医学部機能病態内科学), 村脇 義和(鳥取大学医学部機能病態内科学)
抄録 【目的】膵癌の診断は画像機器の進歩に伴い向上してきたが,なお発見時には進行しており切除不能である事が多い.生活習慣を含むリスクファクターを詳細に検討し,予防・早期発見につなげる必要がある.今回我々は膵管癌の患者・臨床背景を解析し,リスクファクターを検討した.【方法】2003年7月~2012年8月の間に当院で経験し,病理学的に診断した膵管癌146症例(男95:女51,平均年齢67.5歳,部位Ph:Pb:Pt=88:41:17,病期I:II:III:IVa:IVb=1:4:31:41:69)を対象とした.対照群は同期間に便潜血陽性で大腸内視鏡検査を施行した症例のうち,性,年齢を一致させた146例とした.患者背景として既往歴(生活習慣病,慢性膵炎,IPMN,他癌既往),飲酒・喫煙歴,二親等までの癌家族歴を男女間,症例対照間で比較した.膵管癌症例における血液型の頻度についても検討した.【結果】膵管癌症例における男女間の比較では男性で糖尿病,飲酒・喫煙歴,女性で高脂血症,乳癌家族歴が高率であった(P<0.05).症例対照間の比較において,膵管癌群で糖尿病(29.5%,P=0.013)が高率,飲酒歴(50.7%,P=0.060)が多い傾向で,男性では他癌既往(30例,31.6%,P=0.012)が高率で,その内訳は胃癌10例,大腸癌7例,頭頚部癌3例,肺癌3例,肝癌3例,腎癌3例,膀胱癌2例,胃GIST1例で,喫煙との関連が指摘されている癌が多かった(重複症例あり).血液型はA型47.8%,B型20.3%,O型23.9%,AB型8.0%で,本邦での分布と比較してA型が他の血液型より多かった(P=0.019).【結論】糖尿病は明らかなリスクファクターであることが確認された.膵管癌男性は喫煙に関連する他癌既往が多く,喫煙に対する感受性が高い可能性がある.膵管癌女性では新たなリスクファクターは認められなかったが,男性に比べ乳癌家族歴が多い傾向があった.
索引用語