セッション情報 口演

膵癌

タイトル O-011:

切除不能膵癌における血栓塞栓症の合併率とその臨床的特徴の検討

演者 杉本 啓之(名古屋大学消化器内科学)
共同演者 廣岡 芳樹(名古屋大学医学部附属病院光学医療診療部), 伊藤 彰浩(名古屋大学消化器内科学), 川嶋 啓揮(名古屋大学消化器内科学), 大野 栄三郎(名古屋大学医学部附属病院光学医療診療部), 伊藤 裕也(名古屋大学消化器内科学), 中村 陽介(名古屋大学医学部附属病院光学医療診療部), 平松 武(名古屋大学消化器内科学), 鷲見 肇(名古屋大学消化器内科学), 林 大樹朗(名古屋大学消化器内科学), 舩坂 好平(名古屋大学医学部附属病院光学医療診療部), 中村 正直(名古屋大学消化器内科学), 宮原 良二(名古屋大学消化器内科学), 大宮 直木(名古屋大学消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大学消化器内科学)
抄録 【目的】担癌患者では血液の過凝固状態から血栓塞栓症を発症することが知られており,膵癌はその頻度が高いとされる.血栓塞栓症の発症は予後やQOLに大きな影響を与えるが,その予防および治療法は確立していない.今回,血栓塞栓症を合併した切除不能膵癌自験例の現状を評価した.【方法】2006年1月から2011年12月までの間に入院精査を施行した膵癌患者154例中,切除不能と診断し加療を行った72例(男性45例,女性27例)を対象とし,血栓塞栓症の合併率および臨床的特徴について検討した.【結果】72例中9例(12.5%)に血栓塞栓症の合併を認めた.平均年齢は63歳(50-79歳)で,男性2例,女性7例と女性に多かった.血栓塞栓症の内訳は深部静脈血栓症が3例,脳梗塞が4例,両者の合併が2例であった.膵癌占拠部位は頭部3例,体部3例,尾部3例であり,全例がstagIVbの進行例であった(肝転移5例,肺転移1例,肝+肺転移3例).発症時期は膵癌診断時に血栓塞栓症を認めたものが4例,化学療法施行中2例,化学療法導入前1例,支持療法経過観察中1例,中心静脈ポート造設後が1例であった.血液検査では測定していた7例全例で発症後にD-dimerの上昇を認めた.生存期間は転院のため追跡不能となった1例を除き中央値276日(24-547日)と血栓塞栓症非合併例(転院にて追跡不能7例を除く,2012年8月31日現在)の262日(12-1218日)と同程度であったが,脳梗塞発症4例では発症後25.5日(5-32日)と早期の死亡を認めた.【結論】切除不能膵癌患者における血栓塞栓症は,血行性転移が疑われる女性に多く認められた.また,脳梗塞発症例において予後が不良であった.
索引用語