セッション情報 口演

胃 診断

タイトル O-014:

胃MALTリンパ腫のNBI所見―診断・治療における役割―

演者 野中 康一(埼玉医科大学国際医療センター消化器内科)
共同演者 外川 修(埼玉医科大学国際医療センター消化器内科), 毛利 大(埼玉医科大学国際医療センター消化器内科), 落合 康利(埼玉医科大学国際医療センター消化器内科), 中尾 将光(埼玉医科大学国際医療センター消化器内科), 西村 誠(埼玉医科大学国際医療センター消化器内科), 石川 恵子(埼玉医科大学国際医療センター消化器内科), 新井 晋(埼玉医科大学国際医療センター消化器内科), 永田 耕治(埼玉医科大学国際医療センター病理診断科), 清水 道生(埼玉医科大学国際医療センター病理診断科), 喜多 宏人(埼玉医科大学国際医療センター消化器内科)
抄録 (背景・目的)胃MALTリンパ腫の内視鏡所見は非常に多彩で診断が困難である.さらにMALTリンパ腫が疑われているにも関わらず生検で診断がつかないことも経験する.我々は胃MALTリンパ腫においてNBI拡大観察を施行すると,特徴的な所見Tree Like Appearance:TLAを認めることがあることを報告し,生検部位の選択においてもその有用性を報告している.今回TLAの出現頻度や除菌の効果判定における有用性について検討する.(方法)2007年4月から2011年7月の間に他院で胃MALTリンパ腫の診断がつき,当院紹介となった15例全例において,その内視鏡所見,TLAの出現率,治療の効果判定とTLAの関係等についてretrospectiveに検討する.(結果)通常内視鏡所見はびらん,潰瘍,粘膜下腫瘍様隆起,褪色陥凹,粘膜粗造など多彩であった.73%(11/15)例においてNBI拡大観察でTLAの出現を認めた.TLAを認めた11例中,除菌療法でMALTリンパ腫が消失し(内視鏡,組織所見で確認),Complete Response(CR)と判定された7例全例でTLAは認めなくなっており,組織検査でMALTリンパ腫残存が確認された4例全例で除菌後もTLAを認めた.(考察)MALTリンパ腫はその多彩な所見から初回内視鏡で診断がつく頻度が1-2割,生検を施行しても5-7割程度と報告されている.我々が報告しているTLAは73%の頻度と高頻度にMALTリンパ腫に出現するという結果であり,MALTリンパ腫を診断するうえで非常に有用な所見と考える.また,これまでに報告しているように生検部位の選択に有用であるだけでなく,治療効果判定にも有用な所見であると考える.
索引用語