セッション情報 口演

胃 H. pylori

タイトル O-016:

PPI別にみたH. pylori三剤併用一次除菌療法の有用性の検討~esomeprazoleとomeprazoleとの比較~

演者 佐原 秀(浜松医科大学第一内科)
共同演者 杉本 光繁(浜松医科大学第一内科), 魚谷 貴洋(浜松医科大学第一内科), 山出 美穂子(浜松医科大学第一内科), 市川 仁美(浜松医科大学第一内科), 山田 貴教(浜松医科大学第一内科), 大澤 恵(浜松医科大学光学医療診療部), 杉本 健(浜松医科大学第一内科), 古田 隆久(浜松医科大学臨床研究管理センター)
抄録 【目的】本邦で4番目に市販されたesomeprazole(EPZ)は,ラセミ体であるomeprazole(OPZ)からS体のみを取り出したプロトンポンプ阻害薬であり,OPZと比較して薬物代謝酵素CYP2C19の影響を受けにくく,酸分泌抑制能の優位性が報告されている.一方,H. pylori除菌治療における抗生物質の抗菌活性は,胃内pHに影響され,除菌中の胃内pH>5.0を保つことが必要であり,EPZの使用によって高い除菌率が期待される.そこで,今回我々はOPZとEPZを使用して3剤療法を行い,CYP2C19遺伝子多型とクラリスロマイシン(CAM)耐性に関連した除菌療法に対する効果を検討した.【方法】2011年12月~2012年7月までの間に除菌療法に同意の得られたH. pylori陽性患者を対象に,CAM800mg/日+アモキシシリン1500mg/日とEPZかOPZを7日間投与し,尿素呼気試験で除菌判定を行った.【結果】2012年9月時点で,解析対象となり得た症例はEPZ群48例(男女比:34:14,平均年齢:54.5±12.0歳)とOPZ群52例(男女比:35:17,平均年齢:53.8±13.2歳)であった.EPZ群の除菌率はITT解析で75.0%(95%CI;60.4-86.4),PP解析で83.7%(69.2-93.1)であり,OPZ群の除菌率はITT解析で82.7%(69.7-91.8),PP解析で86%(73.3-93.0)であった.PP解析,ITT解析とも両群の除菌率に有意差は認めなかった.【結論】EPZはCYP2C19多型にかかわらず高い酸分泌抑制効果を示すが,今回の検討ではEPZとOPZの除菌率は同等であった.当日は上述の除菌率にCYP2C19遺伝子多型とCAM耐性の有無を考慮した解析を加え発表する.
索引用語