セッション情報 口演

胃癌 診断

タイトル O-020:

0‐IIb型小・微小印環細胞癌9例の臨床病理学的特徴と治療後経過

演者 馬場 洋一郎(三重厚生連鈴鹿中央総合病院病理診断科)
共同演者 齊藤 知規(三重厚生連鈴鹿中央総合病院消化器内科), 向 克巳(三重厚生連鈴鹿中央総合病院消化器内科), 岡野 宏(三重厚生連鈴鹿中央総合病院消化器内科), 佐瀬 友博(三重厚生連鈴鹿中央総合病院消化器内科), 松崎 晋平(三重厚生連鈴鹿中央総合病院消化器内科), 渡辺 玄(新潟大学分子診断病理学分野)
抄録 【目的】臨床的に指摘困難とされてきた0‐IIb型小・微小印環細胞癌の内視鏡的・臨床病理学的特徴を示し,内視鏡治療における絶対適応病変の可能性について検討した.【方法】2005年7月から2012年7月に内視鏡検査で指摘された10mm以下の0‐IIb型印環細胞癌9例を対象とした(胃全摘出術(1例),胃幽門側胃切除術(5例),ESD(3例)).これら病変における《1》内視鏡的な形態や色調の違い,《2》臨床病理学的特徴と術後経過,《3》生物学的悪性度の過去報告例との比較,の3点を示す.【結果】《1》:大きさは4-8mmであり,いずれも周囲粘膜と表面構造に違いを認めない類円形淡褪色斑であった.《2》:男女比5:4,年齢36-64歳(平均51歳).病変は前庭部(6/9)・大彎(5/9)・胃底腺領域(8/9)に多く認められ,背景粘膜の活動性炎症所見(1/9)は目立たなかった.組織学的には粘膜内癌であり,腺頚部から粘膜固有層内に増殖する粘膜内重層構造を伴う印環細胞癌であった.脈管侵襲(0/9),リンパ節転移(0/6)(外科的切除6症例)は確認できなかった.術後経過は外科切除6症例,ESD2症例に5年以上再発所見は認められなかった.残りの1例は30ヵ月の経過で再発所見は認められない.また,1例において7年後異なる領域に微小印環細胞癌の異時性再発が認められた.《3》:今回検討した症例は粘膜内重層構造やKi-67陽性細胞の局在が認められ,過去論文において低悪性度病変と考えられた病変であった.【結論】特徴的な内視鏡所見を示す0-IIb型印環細胞癌は低悪性度病変と考えられ,内視鏡治療の絶対適応病変としての可能性が示唆された.また,同一症例に7年後の異時性再発が認められたことより,術後観察は必要と考えられた.
索引用語