セッション情報 口演

胃癌 診断

タイトル O-022:

家族性大腸腺腫症合併胃癌症例の検討

演者 柴田 近(東北大学生体調節外科)
共同演者 三浦 康(東北大学生体調節外科), 内藤 剛(東北大学生体調節外科), 鹿郷 昌之(東北大学生体調節外科), 田中 直樹(東北大学生体調節外科), 工藤 克昌(東北大学生体調節外科), 長尾 宗紀(東北大学生体調節外科), 羽根田 祥(東北大学生体調節外科), 大沼 忍(東北大学生体調節外科), 佐々木 宏之(東北大学生体調節外科), 森川 孝則(東北大学消化器外科), 吉田 寛(東北大学消化器外科), 元井 冬彦(東北大学消化器外科), 片寄 友(東北大学消化器外科), 海野 倫明(東北大学消化器外科)
抄録 【目的】家族性大腸腺腫症(以下,FAP)に大腸癌以外の悪性疾患が合併することは稀ではない.本研究の目的はFAP合併胃癌症例の特徴を検討することである.【方法】当科でFAPに対して大腸切除を行なった際に上部消化管内視鏡検査(GTF)を受けていた42症例を対象とし,その後のGTFの施行回数・追跡期間,を検討し,FAP合併胃癌の臨床病理学的特徴を検討した.【成績】42例中12例では大腸切除時にGTFを一回受けたのみであったが,残りの30例では術後もフォローアップ目的のGTFが施行されており,その平均追跡期間は122(分布9-337)ヶ月,平均施行回数は10.7(分布2-85)回で,胃癌合併は3例(10%)に認められた.この3例の他に,他院での大腸切除施行後に胃癌が発見され当科に紹介となった2症例を含む,合計5例のFAP合併胃癌の性分布は,男性3例,女性2例であった.胃癌診断時平均年齢は49-72歳,大腸切除と胃癌診断の間隔は1例で4年8ヶ月であったが,残りの4例で20年以上と長い症例が多かった.胃癌が単発の症例が2例,多発の症例が3例で,多発症例の病巣数は,2,4,10個であった.胃癌が単発のでは噴門側胃切除と幽門側胃切除が,多発の3例中2例で胃全摘が施行されていた(残りの一例では多発性肝転移のために手術を施行せず).病理診断は4例で高分化型管状腺癌,1例で中分化型管状腺癌であった.肝転移を認めた症例以外は全てStage IAで治癒切除が行なわれていた.【結論】FAPに対する大腸切除後の胃癌合併は稀ではない.FAP合併胃癌症例は,多発,高分化型管状腺癌を特徴としており,定期的なGTFにより早期発見・治療が可能と考えられた.
索引用語