セッション情報 口演

大腸 病態

タイトル O-024:

活動期潰瘍性大腸炎におけるアミノ酸代謝の変化と病勢との関連

演者 中野 正和(獨協医大消化器内科)
共同演者 富永 圭一(獨協医大消化器内科), 菅谷 武史(獨協医大消化器内科), 星野 美奈(獨協医大消化器内科), 平石 秀幸(獨協医大消化器内科)
抄録 【目的】難治性炎症性腸疾患であるクローン病と潰瘍性大腸炎(UC)では,種々の誘因や機序によって栄養障害が高頻度に出現し,栄養補給が必要になる事が少なくない.近年,UCに対しても生物学的製剤が導入されたが,免疫統御療法と比べて成分栄養療法の安全性は確立されており,さらにその治療効果においては腸管安静と栄養素の安定した吸収・補給以外にも慢性炎症と深く関わるアミノ酸の存在も知られるようになってきた.特に炎症性疾患におけるヒスチジンの低下が報告されているが,アミノ酸代謝の変化と病勢との関連については不明である.今回我々はUC治療におけるアミノ酸代謝の変化と病勢の関連について検討した.【方法】2010年10月から2011年5月の間に診療した活動期UC患者のうち,血清Alb値が3.8g/dl以下の患者で,栄養状態改善を目的とし成分栄養剤(エレンタール,以下ED)をベースラインから600kcal/day以上服用し治療した8例と,コントロール群7例に関し,治療前後でのCAI,血清Alb値,血漿中ヒスチジン(His)・トリプトファン(Trp)濃度との関連について検討した.【結果】ED群で寛解導入例が8例中3例,コントロール群は7例中3例と両群に差は無く,CAI,CRP,血清Alb値も両群に差はなかった.一方,両群の治療後における炎症(CRP)・栄養状態(血清Alb値)と血漿中His・Trp濃度の関連について検討した結果,ED投与群でCRPとHisに強い相関が認められ(r=0.73,p=0.047),血清Alb値とHisの相関に関してもED投与群で強い相関が認められた(r=0.78,p=0.021).【考察】UC患者において,His濃度は炎症や栄養状態と相関し,His濃度はUC患者での治療効果を判断する非侵襲的なマーカーとして有用である可能性が示唆された.
索引用語