セッション情報 | 口演大腸 病態 |
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タイトル | O-026:大腸癌,大腸腺腫と腸内フローラの関係性について |
演者 | 笠井 智佳(三重大学大学院病態解析内科学) |
共同演者 | 白木 克哉(三重大学大学院病態解析内科学), 杉本 和史(三重大学大学院病態解析内科学), 森谷 勲(三重大学大学院病態解析内科学), 田中 淳一朗(三重大学大学院病態解析内科学), 大矢 由美(三重大学大学院病態解析内科学), 井上 英和(三重大学大学院病態解析内科学), 伊藤 信康(三重大学大学院病態解析内科学), 高瀬 幸次郎(三重大学大学院病態解析内科学) |
抄録 | 【目的】日本人の食生活の欧米化等に伴い大腸疾患罹患率は増加の一途をたどっている.過去の培養法における論文では,大腸癌患者や大腸腺腫再発患者でclostridiumの増加や,嫌気性菌/好気性菌比の上昇を示すものもあるが一定の結論は得られていない.分子生物学的手法を用いて特定の菌をターゲットにした研究はあるが,大腸腫瘍を有する患者群での腸内フローラを検討した疫学研究は進んでいない.近年,分子生物学的手法の発達により徐々に腸内フローラの研究も進んできており,今回我々はT-RFLP(Terminal-Restriction Fragment Length Polymorphism)法を用いて大腸癌・大腸腺腫患者における腸内フローラの解析を行い大腸疾患との関連性につき検討した.【方法】対象は大腸腺腫患者22名(腺腫内癌3名も含む)と健常者10名の糞便よりDNAを抽出し,T-RFLP解析は,制限酵素Bst1によるNagashima法で施行した.また,疾患ごとに腸内フローラの類似性が得られるかを,クラスター解析にて検討した.【結果】患者背景(年齢,性別,便秘,食生活等)と腸内フローラは統計学的有意差を認めなかった.大腸腺腫群は健常者群に比し,Bacteroidetes門が優位に多く(大腸腺腫群39.7%,健常者群23.8%),Actinobacteria門が優位に減少していた(大腸腺腫群8.0%,健常者群19.7%).大腸腺腫と健常人を特徴づけるクラスターは同定出来なかった.【結論】大腸腺腫患者は健常人と比しBacteroidetes門が多くActinobacteria門が少ない傾向にあった.腸内フローラを調べることにより,現在及び将来の大腸疾患発生の予測が出来れば,腸内フローラがこれらの疾患の予防,治療の標的となりうることが示唆された. |
索引用語 |