セッション情報 口演

大腸 診断

タイトル O-029:

血便を伴う急性大腸炎における腹部CT検査の有用性の検討

演者 坂本 直美(高崎総合医療センター消化器病センター内科)
共同演者 工藤 智洋(高崎総合医療センター消化器病センター内科), 小板橋 絵理(高崎総合医療センター消化器病センター内科), 上原 早苗(高崎総合医療センター消化器病センター内科), 星野 崇(高崎総合医療センター消化器病センター内科), 長沼 篤(高崎総合医療センター消化器病センター内科), 高木 均(高崎総合医療センター消化器病センター内科), 石原 宏(高崎総合医療センター消化器病センター内科), 小柏 剛(六合診療所)
抄録 【目的】血便を伴う急性大腸炎には虚血性腸炎,感染性腸炎,抗生物質起因性腸炎などが挙げられる.診断目的に緊急内視鏡検査を施行することが多いが,炎症極期の検査は侵襲性が高く患者にも医療従事者にも負担が大きい.また特徴的な内視鏡所見に乏しく必ずしも確定診断につながらない.これらの疾患を鑑別するために腹部CT検査(以下CT)が有用か検討する.【方法】2010年1月から2012年8月までに当センターで経験した血便を伴う急性大腸炎63例のうちCTを施行した25例を対象とし,炎症部位別に特徴を検討した.【結果】炎症が左半結腸に限局している群は11例で全例虚血性腸炎の診断であった.1例を除き緊急内視鏡が施行され,7例は縦走潰瘍などの所見を認めたが,3例は疼痛により炎症部位まで挿入できなかった.横行結腸中心に上行から下行結腸に炎症が強い群は6例あり,2例が腸間出血性大腸菌(O-157)感染症,3例が薬剤性出血性大腸炎,1例が虚血性腸炎疑いであった.炎症が右半結腸優位の群は3例で感染性腸炎疑いが2例,虚血性腸炎疑いが1例であった.全大腸に炎症が及んでいる群は2例で,細菌性赤痢とMRSA腸炎であった.直腸から左半結腸の群は3例だったが非特異性大腸炎などで確定診断に至らなかった.全例を通じ虚血性腸炎に比べ感染性腸炎や出血性大腸炎で炎症の程度が強かった.腹水は5例に認め感染性腸炎に多かった.感染性腸炎3例で腹腔内リンパ節腫大を認めた.【結論】CTは炎症部位によってある程度疾患の鑑別に有用であり,安全に炎症の程度や腸管外の情報が得られる.CTのみで確定診断をつけることは困難だが,詳細な問診や便培養検査,必要に応じて内視鏡検査と組み合わせることで診断につながると思われる.血便を伴う急性大腸炎においてCTは有用で第一選択の検査方法と考えられた.
索引用語