セッション情報 口演

大腸癌 診断

タイトル O-030:

患者末梢血を用いたKRAS変異診断

演者 山田 岳史(日本医科大学消化器外科)
共同演者 内田 英二(日本医科大学消化器外科), 松本 智司(日本医科大学千葉北総病院外科), 菅 隼人(日本医科大学消化器外科), 小泉 岐博(日本医科大学消化器外科), 進士 誠一(日本医科大学消化器外科), 松田 明久(日本医科大学千葉北総病院外科), 谷 亞彌(日本医科大学消化器外科), 原 啓介(日本医科大学消化器外科), 佐々木 順平(日本医科大学千葉北総病院外科), 中山 雅人(凸版印刷総合印刷所), 牛田 弘(凸版印刷総合印刷所), 北野 史郎(凸版印刷総合印刷所)
抄録 【背景】切除不能大腸癌に対する抗EGFR抗体の果たす役割は大きく,KRAS変異診断は重要である.現在ERAS変異診断は外科的に切除された原発巣からサンプルをとるが,ここにいくつかの問題がある.(1)外科手術を行わない症例では生検標本を用いて解析を行うが,その信頼性は?(2)転移巣のKRAS statesは原発巣と一致しているのか?(3)KRAS野生型症例に対し,抗EGFR抗体を用いて治療を行っている最中にKRAS変異をきたしたクローンは増加しないのか?患者末梢血を用いてKRAS statesを診断することが可能となれば,手術標本を必要とせず,原発巣と転移巣の一致率を気にする必要もなく,治療中の変異クローンの増加に対しても対応可能である.【目的】患者末梢血を用いたKRAS変異解析法を確立する.【方法】すでに原発巣が切除され,KRASの解析がおこなわれている症例を対象とした(KRAS変異型で再発が確認されている6例,KRAS野生型でかつ再発のない2例,KRAS野生型で再発が確認されている2例).患者末梢血を5ml採血し血清を採取,QIAamp circulating nucleic acid kit(キアゲン社)を用いて,循環DNAを精製し,ピコグリーンにて定量を行った後,インベーダープラス法にてKRAS遺伝子変異解析を行った.検出対象とする変異は,コドン12,13に存在する変異7種類(G12A,G12S,G12V,G12C,G12D,G12R,G13D)とした.【結果】再発のあるKRAS変異6例中5例でKRAS変異を同定することができた.同定できなかった1例は径1cmの肺転移のみを有する症例であった.野生型かつ再発を認めない症例では変異KRASを認めなかったが,野生型で抗EGFR抗体治療中の2例のうちの1例でG12Dを認めた.現在原発巣がKRAS野生型で抗EGFR抗体治療を継続中の症例における血清検査を継続している.
索引用語