セッション情報 | 口演大腸癌 診断 |
---|---|
タイトル | O-034:潰瘍性大腸炎における発がんリスクマーカーとしてのmiR-124aのDNAメチル化異常 |
演者 | 板谷 優子(富山大学第三内科) |
共同演者 | 安藤 孝将(富山大学第三内科), 南條 宗八(富山大学第三内科), 吉田 啓紀(富山大学第三内科), 植田 亮(富山大学第三内科), 三原 弘(富山大学第三内科), 藤浪 斗(富山大学第三内科), 梶浦 新也(富山大学第三内科), 西川 潤(富山大学第三内科), 細川 歩(富山大学第三内科), 杉山 敏郎(富山大学第三内科) |
抄録 | 【背景・目的】潰瘍性大腸炎(UC)は長期経過中にColitis-associated cancer(CAC)を合併する.我々は,がん抑制作用を持つmicroRNAであるmiR-124aが,プロモーター領域のDNAメチル化異常により発現が制御され,慢性炎症を背景とした消化器がんで高頻度に不活化されていることを報告してきた.今回,UCの大腸粘膜におけるmiR-124aのDNAメチル化異常がCAC発症のリスクマーカーとなり得るかどうかを検討した.【対象・方法】健常者12例の直腸粘膜,CAC 3例dysplasia 1例のがん部,UC患者40例(年齢中央値42歳,病型はpancolitis/non-pancolitis 14/26例,罹患期間中央値11.5年)の直腸粘膜よりDNAを抽出しmiR-124a(miR-124a-1,miR-124a-2,miR-124a-3)のプロモーター領域のDNAメチル化状態を定性的Methylation specific PCR(MSP)法または定量的Real-time MSP法により解析した.またmiR-124aの標的遺伝子であるCDK6の発現を免疫染色法で解析した.【結果】健常者ではmiR-124aは全例非メチル化状態であった.一方CAC,dysplasiaでは全例でメチル化異常を認め,CDK6も高度に発現していた.次にUC患者のmiR-124a-3メチル化レベルを疫学的危険因子別に比較した.病型別の平均メチル化レベルは,健常者,non-pancolitis UC群,pancolitis UC群で2.0%,5.3%,12.3%であり,pancolitis UC群は健常者と比べ高値であった(p<0.01).罹患期間別では,8年未満の群(n=12),8年以上の群(n=28)で2.5%,13.2%であり8年以上の群は健常者と比べ高値を示した(p<0.01).pancolitisかつ8年以上のUC患者における平均メチル化レベルは15.6%と更に高値であった.【結語】miR-124aはCACの発がん過程でDNAメチル化異常をうけていた.miR-124a-3メチル化レベルは広範で長期の病変を有するUC患者で高値を示し,個々の発がんリスクを評価する有用なマーカーとなる可能性がある. |
索引用語 |