セッション情報 口演

大腸 IBD 1

タイトル O-035:

ヒト大腸筋線維芽細胞からのエオタキシンの誘導

演者 高橋 憲一郎(滋賀医科大学大学院消化器免疫)
共同演者 今枝 広丞(滋賀医科大学消化器内科), 藤本 剛英(滋賀医科大学大学院消化器免疫), 伴 宏充(滋賀医科大学消化器内科), 塩谷 淳(滋賀医科大学消化器内科), 馬場 重樹(滋賀医科大学消化器内科), 佐々木 雅也(滋賀医科大学消化器内科), 辻川 知之(滋賀医科大学総合内科学講座), 齋藤 康晴(滋賀医科大学消化器内科), 藤山 佳秀(滋賀医科大学消化器内科), 安藤 朗(滋賀医科大学大学院消化器免疫)
抄録 【目的】炎症性腸疾患の病変粘膜では好酸球の浸潤が認められ,病態の一役を担っていると考えられている.好酸球にはCCR3が発現しており,CCR3のリガンドであるエオタキシン(eotaxin-1,-2,-3)が好酸球の集簇に重要な役割を担っている.今回,ヒト大腸筋線維芽細胞からのエオタキシンの発現誘導について検討を行った.【方法】正常大腸粘膜から単離したヒト大腸上皮下筋線維芽細胞をサイトカインで刺激し,quantitative PCRにてエオタキシンmRNAの発現を検討した.Western blotおよびELISA法にて蛋白の発現を比較検討した.【結果】Eotaxin-3 mRNAはIL-4刺激によりコントロールと比較して96.8倍,IL-13刺激で78.7倍の発現誘導が認められた.Eotaxin-3蛋白発現はコントロールが29.8pg/mLであったのに対し,24時間のIL-4刺激にて3,581pg/mL,IL-13刺激にて3,162pg/mLへと増強された.Eotaxin-1については同様の傾向が得られた.Eotaxin-2の発現は認められなかった.IL-4,IL-13刺激によるeotaxin-3の発現誘導はTNF-αで増強され,IFN-γで抑制された.【結論】IL-4,IL-13の刺激により大腸筋線維芽細胞からエオタキシンが誘導された.その作用はTNF-αで増強され,IFN-γにより抑制されることが明らかとなった.炎症性腸疾患における病変粘膜の好酸球浸潤に大腸筋線維芽細胞に由来するエオタキシンが重要な役割を担っていると考えられた.
索引用語