セッション情報 口演

大腸 IBD 1

タイトル O-037:

慢性DSS腸炎マウスモデルにおけるRorγt依存的Innate Lymphoid cells(ILCs)の炎症制御能の解明

演者 木村 佳代子(慶應義塾大学医学部消化器内科)
共同演者 金井 隆典(慶應義塾大学医学部消化器内科), 林 篤史(慶應義塾大学医学部消化器内科), 筋野 智久(慶應義塾大学医学部消化器内科), 三上 洋平(慶應義塾大学医学部消化器内科), 水野 慎大(慶應義塾大学医学部消化器内科), 半田 一己(慶應義塾大学医学部消化器内科), 松岡 克善(慶應義塾大学医学部消化器内科), 佐藤 俊朗(慶應義塾大学医学部消化器内科), 久松 理一(慶應義塾大学医学部消化器内科), 日比 紀文(慶應義塾大学医学部消化器内科)
抄録 【背景・目的】炎症性腸疾患におけるRetinoid-related orphan receptor γ(RORγt)をマスター遺伝子とするTh17細胞の関与についてはこれまで我々を含め多数の報告がある.さらにRORγt依存性でかつIL-17A産生性の新規細胞集団としてinnate lymphoid cells(ILC)の病態への関与が近年注目されている.ILCとは自然免疫やリンパ装置の形成と維持,さらにIL-22を産生し組織修復に重要と考えられている.一方で,自然免疫腸炎においてIL-17A・IFN-γを産生する病因性細胞としての報告もあり,ILCの機能や病態関与については未だ複雑である.そこで本研究では慢性dextran sodium sulfate(DSS)腸炎におけるRORγt依存性ILCの腸炎への関与を検討した.【方法】RORγtgfp/+/RAG-2-/-マウス(レポーターマウス),RORγtgfp/gfp/RAG-2-/-マウス(DKOマウス)に2.0% DSSを7日間,その後DWを7日間飲水(1サイクル),3サイクル反復し,リンパ球の非存在下の慢性DSS自然免疫腸炎モデルを作成した.体重変化・腸管病理・免疫染色組織所見に加え,腸管内RORγt+ILCプロファイルをFACSにて解析した.【結果】1)レポーターマウスと比してDKOマウスでは腸炎が重症化した.2)DKOマウスの腸管病理組織ではMUC-2・Occludinの発現が有意に減少した.3)RORγt+IL-22産生細胞(ILC22)は大腸・小腸においてThy-1highSCA-1high細胞群に多く発現を認めた.4)レポーターマウスと比べDKOマウスでは慢性DSS腸炎モデルにおけるIFN-γ+ILCは減少していた.【考察】RORγt+ILC22細胞は慢性DSS腸炎モデルにおいて防御因子としての機能を担っていると考えられた.しかし,腸炎の病的因子としてのILC familyの役割は明らかにはされず,Rorγt依存的ILCの防御素因と病的素因のバランス等,今後さらなる腸炎モデルでの検討が必要と考えられた.
索引用語