セッション情報 | 口演大腸 IBD 1 |
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タイトル | O-038:SAMP1マウスを用いた大腸炎症性発癌モデルの作成とその意義 |
演者 | 福庭 暢彦(島根大学第2内科) |
共同演者 | 石原 俊治(島根大学第2内科), 園山 浩紀(島根大学第2内科), 多田 育賢(島根大学第2内科), 岡 明彦(島根大学第2内科), 楠 龍策(島根大学第2内科), 大嶋 直樹(島根大学第2内科), 森山 一郎(島根大学腫瘍センター), 結城 崇史(島根大学光学診療部), 川島 耕作(島根大学第2内科), 松本 敏(ヤクルト中央研究所), 木下 芳一(島根大学第2内科) |
抄録 | 【背景と目的】SAMP1マウスは自然に回腸炎を発症するクローン病モデルであり,その病態には様々な免疫異常が関与しており,最近では制御性のT細胞(Treg)やB細胞(Breg)の機能低下についても報告されている(Mucosal Immunology 2012,Immunology 2010).一方,SAMP1は免疫異常を有するにも関わらず,自然経過中には一般に大腸に炎症は認められない.今回の研究では,本マウスにおいて,大腸炎誘発に対する感受性を検討するとともに,大腸炎症発癌モデルを作成し,その結果をSAMP1の有する免疫異常の観点から考察した.【方法】6週齢のSAMP1に対しアゾキシメタン12.5mg/kgを腹腔内投与した.続いて,2.5%のデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)含有水を5日間自由飲水,16日間DSS非含有水を1クールとし3クール施行した.最終クール終了10日後に解剖し腫瘍発生を検討した(SAMP群).コントロールとしてAKRマウスを用いて同様の実験を行った(AKR群).主要評価項目は腫瘍発生率とした.また,炎症の程度を評価する目的で,単回のDSS投与による体重変化,結腸の長さ,組織学的検索をおこなった.【結果】DSS腸炎の誘発によって,体重変化に差はなかったが,結腸の長さはAKR群115mmに対しSAMP群102mmであり有意にSAMP群で短縮しており,組織学的炎症もSAMP群で高度であった.腫瘍の発生率は,AKR群で12.5%,SAMP群で100%であり,SAMP群で有意に高かった.【考察】SAMP1はAKRに比べてDSSによる大腸炎誘発に対する感受性が高く,炎症による腫瘍発生も高率であった.TregやBregは細胞性免疫制御を介して腫瘍の発生や進展を促進させる傾向があるが,SAMP1では個体も持つ免疫異常が強い炎症誘発につながり,結果的に炎症依存的に高率な腫瘍発生に至ったと推測された. |
索引用語 |