セッション情報 |
口演
大腸 IBD 2
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タイトル |
O-039:タクロリムス投与を行った潰瘍性大腸炎患者における腎障害のサーベイランス
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演者 |
前野 智子(東京都立大塚病院消化器内科) |
共同演者 |
渡辺 守(東京医科歯科大学消化器内科), 長堀 正和(東京医科歯科大学消化器内科), 藤井 俊光(東京医科歯科大学消化器内科), 檀 直彰(東京都立大塚病院消化器内科), 倉田 仁(東京都立大塚病院消化器内科) |
抄録 |
【目的】潰瘍性大腸炎(UC)では長期の寛解維持療法が重要であり,5-ASA製剤やAZA/6-MPが有効であるが,不応例や不耐例があり治療に難渋することがある.タクロリムスは難治性UCに対し寛解導入に有効であるが,近年既存薬での維持困難例に対する維持効果の報告も散見される.しかし潰瘍性大腸炎におけるタクロリムスの投与は3ヶ月をめどとする事とされており,長期投与の安全性については明らかではない.今回我々は3ヶ月を超えてタクロリムスを長期投与したUC患者における安全性,特に腎機能障害に関して検討した.【方法】東京医科歯科大学潰瘍性大腸炎・クローン病先端治療センター通院中のUCで2009年9月より2012年3月にタクロリムスを投与した44例において前向きにタクロリムス導入時および,3,6,12ヶ月後に血清Cre,シスタチンC,尿中Cre,尿中NAG,尿中β-2-MG,尿Alb,尿TP等を測定しプロスペクティブコホート研究を行った.6,12ヶ月後におけるeGFRの変化率において-15%をcut offとし2群を比較検討した.また,3ヶ月以上の長期投与群と3ヶ月以内に投与を終了した群との比較も合わせて行った.【結果】タクロリムス導入後6,12ヶ月での平均eGFR変化率は-15.6%,-14.2%であり,15%以上の低下は39%(18人中7人),50%(12人中6人)でみとめた.また,タクロリムス導入12ヶ月後でのeGFRの低下率が15%未満の群と15%以上の群の平均年齢は30.8±10.4歳,48.0±9.3歳,P=0.013であり,腎機能低下群で有意に年齢が高かった.重症度,罹病期間,病型,性別に関して差はみられなかった.【結論】3ヶ月を超えてタクロリムス投与を行う場合は年齢を考慮し腎機能に十分注意しながら投与する必要があると考えられた. |
索引用語 |
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