セッション情報 口演

大腸 IBD 2

タイトル O-040:

潰瘍性大腸炎患者における5-ASA製剤による副作用出現例の検討

演者 杉本 健(浜松医科大学第一内科)
共同演者 山田 貴教(浜松医科大学第一内科), 杉本 光繁(浜松医科大学第一内科), 金岡 繁(浜松医科大学分子診断学), 古田 隆久(浜松医科大学臨床研究管理センター), 大澤 恵(浜松医科大学光学医療診療部)
抄録 【目的】潰瘍性大腸炎(UC)の治療において5-ASA製剤は広く使用されているが,副作用のため使用を中止せざるを得ない症例も存在する.UC患者の増加に伴い5-ASAの使用量も年々増加しており,それに伴い5-ASAによる副作用発現例も増加していると考えられる.今回,我々は当院における5-ASA製剤による副作用が出現したUC症例についてその臨床的特徴および年次的変化について検討したので報告する.【方法】1998年1月より2012年7月までの間に当科にて入院加療をおこなったUC患者のうち5-ASAによる副作用のため使用を中止したA群13例と5-ASAによる副作用を認めなかったB群85例を対象とし比較検討し,その臨床的特徴および治療経過についてretrospectiveに検討した.また1998年から2002年(I期),2003年から2007年(II期),2008年から2012年まで(III期)の各5年間に分けて年次的変化を検討した.【成績】A群における5-ASAの副作用は腸炎悪化が6例(うち腎障害合併が4例),急性膵炎が3例,間質性肺炎が2例,肝障害と口内炎が各1例であった.年次的な副作用発現率としては,I期で10.0%(3/30),II期で11.4%(4/35),III期で18.2%(6/33)と年次的に増加傾向がみられた.5-ASA内服期間の中央値は31日であった.A群における手術移行率は38.5%(5/13)であり,B群の手術移行率18.8%(16/85)に比較して高率であった.特に腎機能発現例では全例が手術移行(4/4)となった.【結論】UC患者における5-ASAの副作用は年々増加する傾向にあった.5-ASAによる副作用出現症例においては内科的治療抵抗となり手術移行率が高くなる傾向あるが,その中でも腎障害合併例において特に手術移行率が高くなる傾向にあり注意を要すると考えられた.
索引用語