セッション情報 口演

大腸 IBD 3

タイトル O-042:

高齢者潰瘍性大腸炎手術例の排便機能についての検討

演者 二木 了(横浜市立市民病院外科)
共同演者 小金井 一隆(横浜市立市民病院外科), 辰巳 健志(横浜市立市民病院外科), 山田 恭子(横浜市立市民病院外科), 黒木 博介(横浜市立市民病院外科), 木村 英明(横浜市立大学市民総合医療センター炎症性腸疾患センター), 荒井 勝彦(横浜市立市民病院外科), 杉田 昭(横浜市立市民病院外科), 鬼頭 文彦(横浜市立市民病院外科), 福島 恒男(松島クリニック)
抄録 【目的】高齢者潰瘍性大腸炎(以下UC)手術症例の術後排便機能の経時的変化を考察する.【対象】当科外来通院中の70歳以上の高齢者UCのうち,回腸嚢肛門管吻合術を行った24例.内訳は男性17例,女性9例,現年齢は中央値72歳(70-90),術後経過観察期間は10か月から16年.【結果】UC発症年齢は中央値56歳(22-74歳),手術時年齢69歳(59-76),手術適応は重症例8例,穿孔3例,難治6例,癌またはdysplasia7例で,1期手術例は15例,2期分割8例,3期分割1例であった.術後3か月,6ヶ月,1年の1日排便回数中央値は8回(4-14),7回(3-15),6回(3-12)であった.術後3か月から1年の排便回数の変化は23例中,増加4例(17.4%),不変7例(30.4%),減少12例(52.2%).術後1年から2年の排便回数の変化は19例中,増加5例(26.3%),不変6例(31.6%),減少8例(42.1%).術後3か月から現在までの排便回数の変化は24例中,増加5例(20.8%),不変6例(25.0%),減少13例(54.2%)であった.漏便(soiling)は術後3か月では2例(8.3%),6か月,1年では0%であった.止痢剤は術後3か月で全例が使用,6か月で22例(91.7%),1年で21例(91.3%),術後6年目で4例(44.4%)まで使用率が減少したが,術後12年目以降では全例が使用していた.回腸嚢炎は4例(16.7%)に生じ,発症時期は術後3か月,6か月,2年,10年目であった.【結論】70歳以上の高齢者UC手術例では排便回数は術後1年目までに8割が不変または減少しており,加齢による排便回数,漏便の増加は認められなかったことから術前の排便機能が良好な高齢者に対して回腸嚢肛門管吻合術は至適手術であると考えられた.
索引用語