セッション情報 口演

大腸 IBD 3

タイトル O-043:

潰瘍性大腸炎合併大腸癌の特徴と術後経過の検討

演者 辰巳 健志(横浜市民病院外科)
共同演者 杉田 昭(横浜市民病院外科), 小金井 一隆(横浜市民病院外科), 二木 了(横浜市民病院外科), 黒木 博介(横浜市民病院外科), 山田 恭子(横浜市民病院外科), 中尾 紗由美(横浜市民病院外科), 木村 英明(横浜市立大学炎症性腸疾患センター), 荒井 勝彦(横浜市民病院外科), 鬼頭 文彦(横浜市民病院外科), 福島 恒男(松島クリニック)
抄録 背景:潰瘍性大腸炎(UC)は長期経過例ほど大腸癌発生の頻度が増加することが知られているが,その診断・治療には問題点が多い.対象・方法:2008年から2012年に手術を施行した潰瘍性大腸炎合併大腸癌(colitic cancer)59例(癌47例,dysplasia12例)の臨床的特徴,術後経過を検討した.またsurveillance colonoscopy施行群(SC群:35例)と非施行群(NSC群:24例)を比較検討した.結果:症例は男性39例,女性20例で,全大腸炎型49例,左側大腸炎型10例,手術時年齢の中央値は54歳,平均病悩期間の中央値は13.5年であった.術式は大腸全摘,回腸嚢肛門吻合術(IAA)を46例,大腸全摘,回腸嚢肛門管吻合術を5例,大腸全摘,回腸永久人工肛門造設術を4例,Hartmann手術を3例,回腸人工肛門造設術を1例に施行した.腫瘍の主占拠部位は直腸34例,S状結腸12例,下行結腸5例,横行結腸6例,上行結腸が7例であった(多発癌5例あり).組織型は高・中分化腺癌が41例と大部分を占めたが,低分化腺癌が5例,粘液癌が2例,小細胞癌が1例と特殊な組織型も認められ,low grade dysplasiaが2例,high grade dysplasiaが13例であった.術中に腹膜播種を認めR1,R2手術となった症例は5例認められ,術後に化学療法を施行したが2例は死亡,2例は担癌生存,1例は無再発生存中である.またIAAを施行した2例で局所再発を認めたため,直腸切断術を必要としたが,1例は断端陽性となった.その他の症例は無再発生存中である.Stage0,Iの症例はSC群では85.7%(30/35),NSC群では54.2%(13/24)と有意にSC群に多く認められた(p=0.007).また腹膜播種を認めR1,R2手術となった症例はSC群でも2例,NSC群で3例認められた.結語:UCに合併したcolitic cancerは長期経過例に多く,直腸,S状結腸に高率に発生した.早期診断にはsurveillance colonoscopyが有用と考えられるが,進行癌で発見される症例も散見されるためより精度の高いsurveillance法の確率が必要と考えられる.
索引用語