セッション情報 口演

大腸 IBD 3

タイトル O-044:

がん,dysplasia合併潰瘍性大腸炎手術例の検討

演者 鮫島 伸一(獨協医大越谷病院外科)
共同演者 纐纈 真一郎(獨協医大越谷病院外科), 竹下 惠美子(獨協医大越谷病院外科), 吉羽 秀麿(獨協医大越谷病院外科), 奥山 隆(獨協医大越谷病院外科), 菅又 嘉剛(獨協医大越谷病院外科), 牧野 奈々(獨協医大越谷病院外科), 平野 康介(獨協医大越谷病院外科), 齋藤 一幸(獨協医大越谷病院外科), 久保田 和(獨協医大越谷病院外科), 大矢 雅敏(獨協医大越谷病院外科)
抄録 【背景】長期経過の潰瘍性大腸炎患者は,がん,dysplasiaの合併により手術適応となることも多い.Ileo-anal anastomosis(IAA)が選択されることが多いが,中高齢患者も多く,根治性と術後QOLを考慮し術式を選択する必要がある.【目的】がん,dysplasia合併潰瘍性大腸炎手術例について,適切な術式を検討することを目的とした.切除標本でp53染色を行い,がん,dysplasiaの診断における有用性についても検討した.【対象】がん,dysplasia合併潰瘍性大腸炎患者12例.男性10例,女性2例.平均58.0才(28-73才).平均罹患期間19.2年(12-30年).全大腸炎型9例,左側型3例.再燃緩解型6例,慢性持続型6例.術前に,がん,dysplasiaの診断がついていたもの10例,診断がついていなかったもの2例.【結果】施行手術:初回手術9例,再手術3例.開腹6例,HALS 6例.IAA 2例(40,55才).IACA 5例(28,47,56,61,64才),大腸全摘永久回腸瘻1例(73才),APR 2例(64,73才),右半結腸切除1例.非切除1例.病理組織学的検討:Low-grade dysplasia 2例,High-grade dysplasia 3例.pT1N0M0 3例,pT2N0M0 1例,pT3N1M0 2例,sT4NXM1 1例.p53蛋白は,染色を行った9例中8例(89%)で陽性であった.術後肛門機能:IAAを施行した55才症例において術後のsoilingを認めた.その他のIAA,IACA施行例の肛門機能は良好であった.ハルトマン,APR施行患者のQOLも良好であった.【結語】若年者は,IAAが望ましいが,中高年においてはQOLの点から,肛門非温存術式の選択も考慮する必要がある.p53は,潰瘍性大腸炎合併のがん,dysplasia診断に参考になると思われる.
索引用語