セッション情報 | 口演大腸 IBD 3 |
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タイトル | O-045:治療抵抗性潰瘍性大腸炎患者に対する術前治療と術後手術部位感染の関連について |
演者 | 岡林 剛史(慶應義塾大学一般・消化器外科) |
共同演者 | 長谷川 博俊(慶應義塾大学一般・消化器外科), 石井 良幸(慶應義塾大学一般・消化器外科), 遠藤 高志(慶應義塾大学一般・消化器外科), 瀬尾 雄樹(慶應義塾大学一般・消化器外科), 長沼 誠(慶應義塾大学内視鏡センター), 日比 紀文(慶應義塾大学消化器内科), 北川 雄光(慶應義塾大学一般・消化器外科) |
抄録 | 【背景】潰瘍性大腸炎は炎症性腸疾患の一種であり,腸管に対する自己免疫反応の異常が関与していると考えられている.また,潰瘍性大腸炎は再発・寛解を繰り返すことが多く,寛解維持のためにステロイドや免疫抑制剤を用いた治療が広く行われている.薬効から考えれば,これらの薬剤は易感染性・創傷治癒遅延を惹起し,外科治療成績を悪化させる可能性があるが,使用薬剤と手術成績の関係は明らかではない.【方法】2000年から2010年の間に,当院で内科入院治療後に治療抵抗性として,大腸全摘術もしくは大腸亜全摘術を手術施行した潰瘍性大腸癌患者59例を対象とした.創感染・膿瘍形成・縫合不全を手術部位感染(SSI)と定義し,臨床病理学的因子との関連を比較検討した.【結果】性別の内訳は男性35例,女性24例,平均年齢は40(18-75)歳であった.術前2か月間の平均プレドニン積算量は732.7mgであり,48人に静注で免疫抑制剤が投与されていた.術後,9例にSSIの発生(創感染7例,縫合不全2例)を認めた.術前2か月間のプレドニン積算量が1000mg以上の患者においてはSSIの発生に有意差を認めなかったが(1000mg以上4/25 vs 1000mg未満5/34,p=1.00),免疫抑制剤投与患者においては有意差を認め(投与あり4/48 vs 5/11,p=0.01),術前免疫抑制剤投与とSSI発生減少との関連が示唆された.ロジスティック回帰による多変量解析においても,免疫抑制剤投与は唯一のSSI発生減少の独立した予測因子であった.(オッズ比=0.10[0.02-0.68],p=0.02)【結語】術前免疫抑制剤投与はSSI発生を減少させた.術後合併症として頻度が最も高いSSI発生減少の観点から,重症潰瘍性大腸炎の初期治療として免疫抑制剤の積極的投与の妥当性が示唆された. |
索引用語 |