セッション情報 口演

B型肝炎1

タイトル O-049:

B型慢性肝炎における組織学的病勢病期と血液生化学検査値との乖離

演者 石川 智久(東京慈恵会医科大学内科学講座消化器・肝臓内科)
共同演者 北原 拓也(東京慈恵会医科大学内科学講座消化器・肝臓内科), 相澤 摩周(東京慈恵会医科大学内科学講座消化器・肝臓内科), 銭谷 幹男(東京慈恵会医科大学内科学講座消化器・肝臓内科), 萩原 雅子(東京慈恵会医科大学内科学講座消化器・肝臓内科), 五味 優子(東京慈恵会医科大学内科学講座消化器・肝臓内科), 原 裕子(東京慈恵会医科大学内科学講座消化器・肝臓内科), 水野 雄介(東京慈恵会医科大学内科学講座消化器・肝臓内科), 杉田 知典(東京慈恵会医科大学内科学講座消化器・肝臓内科), 中野 真範(東京慈恵会医科大学内科学講座消化器・肝臓内科), 佐伯 千里(東京慈恵会医科大学内科学講座消化器・肝臓内科), 鳥巣 勇一(東京慈恵会医科大学内科学講座消化器・肝臓内科), 佐藤 憲一(東京慈恵会医科大学内科学講座消化器・肝臓内科), 天野 克之(東京慈恵会医科大学内科学講座消化器・肝臓内科), 穂苅 厚史(東京慈恵会医科大学内科学講座消化器・肝臓内科), 羽野 寛(東京慈恵会医科大学病理学), 田尻 久雄(東京慈恵会医科大学内科学講座消化器・肝臓内科)
抄録 【目的】B型慢性肝炎(CHB)の病勢診断は,治療や予後診断で必須となる.組織学的病勢病期(HSG)と血液生化学検査(LD)との乖離の有無について検討した.【方法】生検を実施したB型慢性肝炎(CHB)52例(男性45例,女性7例:40.2±11.0歳)の58検体を検討した.核酸アナログ製剤(NA)耐性再燃の1検体以外,NAやInterferon未使用の非担癌例である.生検時にAST,ALT,γ-GTP,ALP,血小板を測定,HSGは新犬山分類(grading A;A0-3,staging F;F0-4)に準じた.年齢・H-Age(≧40y.)とY-Age(<40y.)とALT値・H-ALT(≧40 IU/l)とN-ALT(<40IU/l)において各々階層化し検討した.【成績】HSGはA:1.82±0.65(A0;1.7%,A1;25.9%,A2;59.3%,A3;12.0%),F:1.62±0.89(F0;8.6%,F1;34.5%,F2;41.4%,F3;13.8%,F4;1.7%)であった.生検時ALT値は,H-ALT(48/58 82.7%),N-ALT(10/58 17.3%)であった.N-ALTの1検体を除き全例gradingはA1以上となり,N-ALTにおいてもA;1.40±0.70であった.AとALTには有意な相関(r=0.45 p<0.01)が確認され,A1;105.3±102.9 IU/l,A2 275.4±229.3 IU/l,A3 487.4±457.9 IU/Lと各Aの層別間でALT値に有意差が確認された.F進展によりALT値は,有意に低下(F1;352.8±357.9 IU/l,F2;142.0±110.0 IU/l,F3;62.5±23.9 IU/l)が明らかになった.AとFには相関は確認されず,F2A2 18検体(31.0%),F1A2とF1A1が各々9検体となり,対象例の61.4%となった.FはH-ALT(1.7±1.3)とN-ALT(1.7±0.8)で差異なく,年齢階層でHSGとLDに差はなかった.【結論】N-ALTでも肝局所の壊死炎症が残存し,ALT値がAを反映することも確認された.F進展と共にALT値が有意な低下が確認された.LDとHSGに乖離があり,病勢診断で生検は有益であることを再確認した.
索引用語