セッション情報 口演

B型肝炎2

タイトル O-051:

リツキシマブ投与例におけるHBV再活性化予防の現状に関する検討

演者 三宅 達也(島根大学医学部消化器・肝臓内科)
共同演者 佐藤 秀一(島根大学医学部附属病院光学医療診療部), 齋藤 宰(島根大学医学部消化器・肝臓内科), 大嶋 直樹(島根大学医学部消化器・肝臓内科), 飛田 博史(島根大学医学部消化器・肝臓内科), 石原 俊治(島根大学医学部消化器・肝臓内科), 木下 芳一(島根大学医学部消化器・肝臓内科)
抄録 【目的】2009年に免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドラインが作成され,リツキシマブをはじめとする免疫抑制剤や抗癌剤を投与する際のHBVマーカー測定,HBVモニタリング,予防的核酸アナログ投与に関するアルゴリズムが提示されているが,実際どの程度ガイドラインに沿った診療がなされているか検討した.【方法】2010年1月~2012年3月までに当院でリツキシマブを投与された96例(男性45例,女性51例,平均年齢68.9歳).原疾患は,悪性リンパ腫88例,MALT 5例,腎移植前2例,慢性リンパ性白血病1例.ガイドラインに沿ったHBV感染のチェックおよび治療開始後に適切な経過観察が行われているか調査した.【結果】HBs抗原は全例で測定されており全て陰性であったが,HBs抗体,HBc抗体ともに測定されていたのは86例(89.6%)であった.HBV既感染例は37例(38.5%)あり,HBs抗体またはHBc抗体が測定されておらず既感染か判断できない症例が7例(7.3%)存在した.既感染と判断された37例中4例(1.1%)はHBV-DNAを提出されておらず,HBV-DNAを測定されていた症例でもガイドラインに従って毎月測定されていたのは5例(13.5%)のみであり,他は不十分な経過観察となっていた.HBV再活性化については,既感染の1例で経過観察中HBV-DNAが一過性に陽性となったがトランスアミナーゼの上昇は認めなかった.また治療前にHBs抗体,HBc抗体,HBV-DNAを測定されていなかった1例がde novo肝炎を発症した.【結論】リツキシマブ投与例のうち約4割がHBV既感染例であったが,ガイドラインに則した経過観察をされている例は未だ少なくde novo肝炎も発症していた.血液内科をはじめとする他科へのさらなる啓発および肝臓内科との連携が必要であると考える.
索引用語