セッション情報 口演

B型肝炎2

タイトル O-052:

当院におけるリツキシマブ併用化学療法によるHBV再活性化対策の現状

演者 筒井 朱美(徳島市民病院内科)
共同演者 岸 史子(徳島市民病院内科), 大喜田 義雄(徳島市民病院内科)
抄録 【目的】劇症肝炎・遅発性肝不全の全国調査では,2009年までの6年間にde novoB型肝炎が17例報告され,その背景は非ホジキンリンパ腫が76%,治療内容はリツキシマブを含む治療が76%であった.2009年,免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドラインが発表されたが,その後もde novo肝炎は報告されている.今回,我々は当院において,リツキシマブ併用化学療法が施行された症例においてHBV関連マーカーの検索状況およびその結果について検討した.
【対象】2006年1月から2011年12月までに,当院にて悪性リンパ腫に対してリツキシマブ併用化学療法を開始した124例(年齢42-90歳 平均69.7歳,男/女59/65例).
【結果】HBs抗原は124例中101例(81.5%)で検索され,HBs抗原陽性は101例中2例(2.0%)であった.HBs抗体and/or HBc抗体は124例中29例(23.4%)で検索されており,HBs抗体and/or HBc抗体陽性は29例中3例(10.3%),この3例ともHBV-DNAは検出されなかった.HBs抗原陽性2例ともにリツキシマブ投与開始時,ALT正常値であり核酸アナログは投与されていなかった.1例目はリツキシマブ併用化学療法6クールで完解状態に至り,治療中ALTは正常値であった.しかし,1年後に再発し治療再開4か月後にALTの上昇を認めた.HBV DNAの増加を認めたため核酸アナログの投与を開始し,ALTは正常化した.2例目は3クール施行し,治療中治療後ともにALTは正常値であった.HBs抗体and/or HBc抗体陽性例は,全例治療開始時および治療中ともにALTは正常値であった.当院ではリツキシマブ投与時,HBs抗原の検索は81.5%に施行されていたが,その治療については共通の認識が得られていなかった.また2009年ガイドライン発表後,当院におけるリツキシマブ使用時のde novo肝炎に対する意識は改善傾向である.
【結語】今後,化学療法,免疫抑制療法の進歩に伴って,HBV再活性化対策はさらに重要となってくる.ガイドラインの周知に努め,各専門医が十分連携をとって治療にあたることが重要と考えられた.
索引用語