セッション情報 |
口演
B型肝炎2
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タイトル |
O-053:固形腫瘍治療時におけるde novo B型肝炎の再活性化
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演者 |
杉本 理恵(九州がんセンター消化器肝胆膵内科) |
共同演者 |
荒武 良総(九州がんセンター消化器肝胆膵内科), 田尻 博敬(九州がんセンター消化器肝胆膵内科), 下川 雄三(九州がんセンター消化器肝胆膵内科), 久野 晃聖(九州がんセンター消化器肝胆膵内科), 古川 正幸(九州がんセンター消化器肝胆膵内科) |
抄録 |
(目的)de novo B型肝炎の再活性化は劇症化後の救命率が極めて低い事が知られている.血液系悪性腫瘍では再活性化の頻度が高く重要性が周知されているが固形腫瘍加療時のde novo肝炎の再活性化についてはほとんど解っていない.その為固形腫瘍を主に治療する外科系診療科ではHBc抗体検査すら十分でない.今回我々は固形腫瘍治療時におけるHBc抗体陽性HBs抗原陰性の症例を検討し,再活性化の頻度とウィルスマーカーや加療内容,タイミングを検討した.その他過去にde novo肝炎発症した1例も別個に検討を行った.(結果)当院にて固形腫瘍に対する加療を受けた症例のうち2012年4月~8月にHBc抗体陽性HBs抗原陰性でHBVDNAフォローされた患者は47例.平均観察期間189.9日,最長観察期間2285日.このうち2例でフォロー中にHBVDNAが陽転化し抗ウィルス剤の投与を開始した.ウィルス出現頻度は4.2%.ウィルス出現時期は測定開始後151日目と707日目.1例は食道癌に放射線治療後1例は肝癌に肝動注療法中であった.何れもウィルス出現前に骨髄抑制は認めなかった.検出時点でのウィルス量は2.7と3.1logIU/mlと低値であり抗ウィルス剤内服により肝炎発症は免れた.1例はHBs抗体陽性,HBe抗原陰性,HBe抗体陽性であったが1例はHBs抗体,HBe抗原,HBe抗体何れも陰性であり,これらの抗体等によってウィルス出現を予測する事は困難であった.一方当院で過去4年間に1例のみde novo肝炎から劇症肝炎を発症し死亡した症例があった.喉頭癌の放射線治療+化学療法後で加療後8ヶ月目にHBs抗原の陽転化を指摘されたが抗ウィルス剤を投与せず抗リウマチ薬の投与を続け1年9ヶ月目に劇症肝炎発症し死亡している.(考察)固形腫瘍加療中のde novoHBVDNAの出現が比較的高頻度である事が判明した.過去の劇症化症例数からすると,更に別の因子が加わって初めて劇症化がおこる可能性もある.今後再活性化しやすい症例が事前予測できないかを含め検討が必要と考える. |
索引用語 |
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