セッション情報 | 口演肝硬変 |
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タイトル | O-057:シャント脳症を併発した肝硬変症例に対するB-RTOの有用性 |
演者 | 渡邊 一弘(埼玉医科大学) |
共同演者 | 今井 幸紀(埼玉医科大学), 中澤 学(埼玉医科大学), 近山 琢(埼玉医科大学), 安藤 さつき(埼玉医科大学), 吉野 廉子(埼玉医科大学), 水野 芳枝(埼玉医科大学), 菅原 通子(埼玉医科大学), 濱岡 和宏(埼玉医科大学), 稲生 実枝(埼玉医科大学), 中山 伸朗(埼玉医科大学), 岡 政志(埼玉医科大学), 持田 智(埼玉医科大学) |
抄録 | 【目的】バルーン下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)は胃穹窿部静脈瘤の標準的治療法であるが,門脈大循環シャントに起因する肝性脳症に対しても有効の場合がある.そこで,シャント脳症に対してB-RTOを施行した症例の臨床経過を解析し,その有用性を検討した.【方法】対象は2005年1月から2012年9月までに,内科的治療に抵抗性のシャント脳症に対してB-RTOを実施した16例(男:女=10:6)で,平均年齢(±SD)は61±9歳.成因はB型2例,C型6例,アルコール性7例,不明1例で,全例が肝硬変,肝予備能(Child Pugh分類)はGrade A 1例,B 10例,C 5例であった.B-RTOは右大腿静脈,右内頚静脈ないし腹壁静脈からアプローチし,コイルまたはマイクロバルーンでシャント経路を一本化し,バルーンカテーテルより5%EO注入後6ないし24時間留置して塞栓した.【成績】シャント部位は脾腎8例,奇静脈1例,脾腎と奇静脈1例,傍臍静脈4例,無名静脈1例であった.2例で部分脾動脈塞栓術を併用した.シャント血管の完全な塞栓が得られたのは11例(68.8%),不十分な塞栓は1例,不成功は3例であった.閉塞成功例は全例で脳症は認められなくなり,アンモニア濃度(平均±SD:μg/dL)は術前164±70から45±26と低下した(p<0.01).傍臍静脈シャントの2例でB-RTO後に門脈血栓症を合併した.また,Child-Pughスコアも術前8.8±1.7から6.4±1.4と改善が得られた(p<0.01).累積生存率(1,2年)は閉塞成功例が87.5%,87.5%,非成功例が37.5%,0%で,死亡例の原因は何れも肺炎などの感染症であった.【結論】シャント脳症に対するB-RTOは,シャント塞栓に成功すれば肝性脳症が消失するのみならず,肝予備能が改善して予後向上が期待される.しかし,門脈血栓などの合併症の対応に関して今後の検討が必要である. |
索引用語 |