セッション情報 口演

肝硬変

タイトル O-058:

肝硬変における栄養評価と性差についての検討

演者 華井 竜徳(岐阜大学第一内科)
共同演者 白木 亮(岐阜大学第一内科), 今井 健二(岐阜大学第一内科), 末次 淳(岐阜大学第一内科), 高井 光治(岐阜大学第一内科), 清水 雅仁(岐阜大学第一内科), 内木 隆文(岐阜大学第一内科), 森脇 久隆(岐阜大学第一内科)
抄録 【目的】肝硬変患者において蛋白・エネルギー低栄養(PEM)は高頻度に出現し,患者のQOLおよび予後に影響を及ぼす.蛋白低栄養の評価には血清アルブミン,エネルギー低栄養の評価には間接熱量計で計測した非蛋白呼吸商(npRQ)がガイドラインにて推奨されている.また栄養評価に身体計測として上腕周囲長(AC),上腕三頭筋皮下脂肪厚(TSF),上腕筋囲(AMC),下腿周囲長(CC),握力等が使用されている.肝硬変患者において適切な栄養評価・介入を行うことは重要であるが,栄養評価における性差について検討した報告は少ない.今回,我々は肝硬変患者において性差による栄養評価への影響について検討したので報告する.【方法】当院入院中の肝硬変患者156例を対象とした.患者背景は男性107名,女性49名,平均年齢は69歳,Child-Pugh分類ではChild Aが105例,Bが40例,Cが11例であった.原因疾患はB型肝硬変16例,C型肝硬変100例,アルコール性肝硬変27例,その他13例.肝細胞癌合併患者は93例であった.身体計測値を日本人身体計測基準値で除した%AC,%TSF,%AMC,%CC,%握力を計測,血液生化学検査としてはAlb,T.chol,3-methylhistidine,BTR,Prealbumin,Retinol binding protein,Trasnferrin,エネルギー代謝指標としてはREE,BMR,REE/BMR,npRQ,%CHO,%FAT,%PROを計測し,性差について検討した.【結果】身体計測としては%AC,%TSF,%AMC,%CCでは女性は男性と比較し有意に高値を示した(P<0.05).エネルギー代謝では有意差を認めなかった.血液生化学検査では3-methylhistidine,BTRは男性高値(P<0.05),Transferrinは女性高値を示した(P<0.01).男性と比較し女性では有意にUIBCは上昇,フェリチンは低下しておりTransferrin上昇の一因となっていると考えられた.【結論】PEMの評価として身体計測および生化学検査を行うことは重要であるが,同程度の肝硬変患者においても性差により結果が異なることを考慮する必要があると考えられた.
索引用語