セッション情報 口演

肝硬変

タイトル O-060:

肝硬変患者におけるカルニチン投与による自覚症状の改善の検討―透析患者を含め―

演者 堀田 直樹(増子記念病院肝臓内科)
共同演者 綾田 穣(増子記念病院肝臓内科), 黒川 剛(増子記念病院肝臓外科)
抄録 はじめに:近年,L-カルニチンが肝硬変患者において,血中アンモニア値および認知機能の改善に有用であると報告がある.また,L-カルニチンが透析患者の筋肉症状に有用との報告がある.本邦においてもL-カルニチン製剤が使用可能となったため,透析施行例を含む肝硬変患者のカルニチン濃度を測定し,有症状患者の改善の有無を検討した.方法:当院通院中の肝硬変患者27人(Child-pugh分類A/B/C=14/9/4)のカルニチン濃度を測定し,有症状患者(こむらがえり,高アンモニア血症など)にL-カルニチン(600mg~1800mg)を約1か月間投与して,症状の改善の有無を検討した.透析患者8人には透析前後及び投与後透析前に,非透析患者19人に対しては投与前後にカルニチン濃度を測定した.また,有症状患者の,投与後の症状の有無について検討した.結果:透析患者の透析前の総カルニチン濃度は,平均42.2μmol/Lと低値であり,透析後には17.7μmol/Lと有意に低下していた(p=0.011). L-カルニチン投与後は155μmol/Lに上昇した.非透析患者では,投与前71.7μmol/Lから投与後101.7μmol/Lに有意に上昇した(p<0.05).こむら返りは,全患者27例の18例(67%)で存在し,透析患者8例で4例(50%),非透析患者19例では14例(74%)であった.腓返り症状を認める症例に関して,L-カルニチン投与例は非投与例に比し,有意に症状の改善を認めた(p=0.0002).血中アンモニア値は,L-カルニチン投与例で低下傾向を示した.結語:肝硬変患者において特に透析患者においては,透析前よりカルニチン濃度が低下を認め,透析後にはさらに低下していた.L-カルニチンを投与することにより,値も上昇し,症状も改善することが確認できた.今後の検討として,投与量および投与期間の検討が必要であると考えられる.
索引用語