セッション情報 口演

C型肝炎2

タイトル O-066:

ペグインターフェロン・リバビリン併用療法に対するvirological response(VR)からみた3剤併用療法の適応方針

演者 西村 健(京都府立医科大学消化器内科)
共同演者 山口 寛二(京都府立医科大学消化器内科), 伊藤 義人(京都府立医科大学消化器内科)
抄録 【目的】Genotype 1型C型慢性肝炎に対するペグインターフェロン・リバビリン(PEG-IFN/RBV)およびテラプレビルを用いた3剤併用療法の治療効果予測には前治療におけるvirological response(VR)の有無が重要である.ウイルス側因子のHCVコア蛋白のアミノ酸置換には判定不能例が存在する.今回,IL28Bの遺伝子多形別にPEG-IFN/RBV併用療法のVRを規定する因子を検討し,3剤併用療法の適応方針について考察した.【方法】当科でPEG-IFN/RBV併用療法を受けたGenotype 1型C型慢性肝炎152例を対象とし,IL28B(rs8099917)遺伝子多形のTT例(N=89)とnon-TT例(N=63)別にVR群とnon-VR群との間で年齢,ALT値,γGTP値,HCV RNA量,血小板数,血色素量,肝組織,ITPA(rs1127354)遺伝子多型に有意差がないか否かを検討した.有意差のみられた因子ごとにROC曲線を作成し,感度・特異度が最大となる点を求めVR率を層別解析した.さらに,IL28B(rs1297860)遺伝子多型の追加検査も行った.【成績】IL28B遺伝子多型TT例のVR群では血小板数が多い傾向にあり(P=.061),血小板数11万以上ではVR率が88%で11万未満の42%に比し有意(P=.001)に高かった.non-TT例のVR群ではγGTP値が有意に低く(P=.047),γGTP52未満ではVR率が25%で52以上の2.5%に比し有意(P=.020)に低かった.また,non-TT例のVR例ではHCV RNA量が有意に低く(P=.018),631 KIU/ml未満でVR率が43%で631 KIU/ml以上の0%に比し有意(P=.003)に高かった(アンプリコア法:N=39).IL28Bのrs8099917とrs1297860の遺伝子多型は98%で同様であったが,rs8099917またはrs1297860の一方がnon-TTまたはnon-CCであった3例中2例でVRは得られていなかった.【結論】PEG-IFN/RBV併用療法を行ったGenotype 1型のC型慢性肝炎VR症例の解析より,テラプレビルを含む三剤併用療法の適応には,IL28B遺伝子多形TT例では血小板数,non-TT例ではγGTP値やHCV RNA量を考慮することが重要であると考えられた.
索引用語