セッション情報 口演

C型肝炎2

タイトル O-067:

安全なtelaprevir(TPV)/peginterferon/ribavirin 3剤併用療法を目指して―肝線維化進行例への対応

演者 谷木 信仁(慶應義塾大学医学部消化器内科)
共同演者 海老沼 浩利(慶應義塾大学医学部消化器内科), 中本 伸宏(慶應義塾大学医学部消化器内科), 碓井 真吾(慶應義塾大学医学部消化器内科),  柏松(慶應義塾大学医学部消化器内科), 石橋 由佳(慶應義塾大学医学部消化器内科), 若山 遊子(慶應義塾大学医学部消化器内科), 山岸 由幸(慶應義塾大学医学部消化器内科), 岡村 幸重(佐野厚生総合病院), 加藤 眞三(慶應義塾大学医学部消化器内科), 多田 慎一郎(慶應義塾大学医学部消化器内科), 齋藤 英胤(慶應義塾大学薬学部薬物治療学), 日比 紀文(慶應義塾大学医学部消化器内科)
抄録 【背景と目的】3剤併用療法の治療効果は高いものの,皮疹・貧血・腎機能障害といった副作用が問題となる.今後,第二世代プロテアーゼ阻害薬が使用可能になれば上記副作用は軽減されることから,現在の3剤併用療法は時間的余裕がない患者が対象になる.その一つに肝線維化進行例があり,彼らに対し3剤併用療法を安全に施行するための対策を模索した.【対象と方法】当院にて3剤併用療法を施行した1型・高ウイルス量C型慢性肝炎28例(治験例を含む)を対象とした.IL-28B SNPSはTT/TG・GG:9/15,coreAA70 wild/mutant:18/8であった.投与量はガイドラインに準じ,高齢・女性・貧血を有する症例に加え,肝線維化の強い症例にTPV 1500mg/日の減量投与とした.肝線維化の指標は4型コラーゲン7S(7S)を用いた.血小板低値であった3例では部分的脾動脈塞栓術(PSE)後に治療を施行した.【結果】7S 6ng/ml以上の症例(B群:n=13)では6ng/ml未満の症例(A群:n=12)に比較してIL-28 TG・GG及びcoreAA70 mutantの症例が多かった.そのため,投与4週でのウイルス陰性化率はB群40%とA群92.3%より低かったが,8週では全例陰性化を得た.一方,Hb値,Cr値の推移を比較したところ,Hb値はA群4週-3.73g/dl 12週-5.64g/dl,B群4週-3.04g/dl 12週-4.63g/dl,Cr値はA群1週+0.96mg/dl 4週+0.99mg/dl,B群1週+0.92mg/dl 4週+0.95mg/dlと両群に有意差を認めなかった.他に皮疹等の重篤の副作用の出現率も有意差は認めなかった.また,PSE施行症例も現在まで重篤な副作用は認めていない.【結論】TPVの1500mg減量投与により,肝線維化の進行した症例に対しても3剤併用療法が安全に施行できる可能性が示唆された.
索引用語