セッション情報 口演

肝癌1

タイトル O-075:

肝細胞癌に対するsorafenib血中濃度測定の有用性

演者 塩谷 淳(滋賀医科大学消化器内科)
共同演者 野田 哲史(滋賀医科大学薬剤部), 神田 暁博(滋賀医科大学消化器内科), 大崎 理英(滋賀医科大学消化器内科), 伴 宏充(滋賀医科大学消化器内科), 稲富 理(滋賀医科大学消化器内科), 馬場 重樹(滋賀医科大学消化器内科), 寺田 智祐(滋賀医科大学薬剤部), 安藤 朗(滋賀医科大学大学院・感染応答・免疫調節部門), 藤山 佳秀(滋賀医科大学消化器内科)
抄録 はじめに:切除不能肝細胞癌に対し,ソラフェニブは800mgが開始量として設定されている.しかし,ソラフェニブは肝代謝型の薬物であり,肝機能障害,肝硬変を有し併用薬も多いと考えられる肝細胞癌患者において,全例に初回800mg投与が妥当かどうかについては議論の余地があると思われる.今回我々は,ソラフェニブ初回投与400mgによる治療を行った肝細胞癌の患者7例において血中濃度を測定し,治療効果,副作用を検討した.方法:肝細胞癌症例7症例において400mgよりソラフェニブを開始,血中トラフ値を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法にて測定した.血中濃度の推移と副作用の発現や治療効果について検討を行った.結果:全ての症例においてトラフ値は2-4μg/mlと論文報告されているレベルと同様であった.1症例はワーファリン,1症例はプレドニン内服中で,1症例は腎不全による透析症例であったが血中濃度に明らかな差異は認められなかった.1例において早期に投与中止となったが,その他の6例では少なくとも30日以上の投与が可能であった.ソラフェニブ200mgしか投与できなかった1例でPRが得られた.考察:今回の400mgを使用した7症例の検討では,報告されている有効血中濃度とほとんど変わりはなかった.また,注意が必要と考えられるステロイドやワーファリンを併用中の患者,透析中の患者においても安全に投与が可能であることが示された.治療効果については,ソラフェニブ200mgの症例においても有効例が存在し,有効血中濃度は低めに設定が可能である可能性がある.治療薬物モニタリング(TDM)を行うことにより,安全で適切なソラフェニブの投与ができる可能性がある.
索引用語