セッション情報 | 口演肝癌1 |
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タイトル | O-076:進行肝細胞癌の治療法選択~肝動注化学療法をどのように位置づけるか?~ |
演者 | 平峯 靖也(鹿児島厚生連病院内科) |
共同演者 | 宇都 浩文(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学), 玉井 努(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学), 今村 也寸志(鹿児島厚生連病院内科), 樋脇 卓也(鹿児島厚生連病院内科), 馬場 芳郎(鹿児島厚生連病院内科), 庄 幸彦(鹿児島厚生連病院内科), 田原 憲治(鹿児島厚生連病院内科), 桶谷 真(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学), 井戸 章雄(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学), 坪内 博仁(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学) |
抄録 | 【目的】現在,進行肝細胞癌に対する世界的な標準治療として推奨されているのはソラフェニブのみである.しかし,日本では肝動注化学療法が発展してきた経緯があり,約30~40%の奏効率があるとされている.今回,進行肝細胞癌に対する肝動注化学療法の治療効果を後向きに解析し,動注療法の位置づけや進行肝癌の治療法選択について検討した.【対象&方法】2007年1月から2012年8月までに,肝予備能がChild-Aで肝切除・肝移植・RFA・TACEの適応がなく遠隔転移のない進行肝細胞癌のうち,肝動注化学療法を施行された101例を対象とした.前治療としてソラフェニブが施行された症例をA群(n=23),後治療としてソラフェニブが施行された症例をB群(n=17),ソラフェニブが施行されなかった症例をC群(n=61)と3群に分類し検討した.HAICはCisplatin,Mitomycin-C,Epirubicinの3剤を単回動注し,効果をみてlow dose FP療法へ変更した.ソラフェニブは800もしくは400mg/日で開始し,適時増量もしくは減量した.【成績】腫瘍背景因子の比較では,3群間に有意差は認めなかった.累積生存率の比較では,A群は他の2群に比較して有意に生存期間の延長を認めたが(P=0.022 vs. B群,P=0.048 vs. C群),B群とC群の生存率には有意差はなかった(P=0.456).予後因子について多変量解析すると,飲酒歴,PIVKA-II,奏効率(CR+PR/SD+PD),治療法(A群,B群,C群)に有意差を認め,なかでも,奏効率および治療法(A群)は進行肝細胞癌を改善する重要な予後因子であった([HR];0.220,P<0.001)/([HR];0.309,P=0.005).【結論】肝動注化学療法の治療効果は,進行肝細胞癌の予後を改善する重要な因子である.また,進行肝細胞癌の治療は,ソラフェニブを第一選択とし肝動注化学療法を後治療とすることで相乗効果が得られ,さらに治療成績が向上する可能性が示唆された. |
索引用語 |