セッション情報 口演

肝癌2

タイトル O-077:

進行肝細胞癌に対するPEG-IFNα-2b/5FU併用療法の評価

演者 葛西 和博(岩手医科大学消化器肝臓内科)
共同演者 滝川 康裕(岩手医科大学消化器肝臓内科), 鈴木 一幸(岩手医科大学消化器肝臓内科)
抄録 [目的]肝細胞癌(HCC)の治療は治療ガイドラインに準じて行われているが,個々の治療の組み合わせは各々の施設によって異なっている.特に切除や肝移植ができない進行HCC例に対する化学療法については標準化されたものはない.我々は進行HCCに対してペグインターフェロン製剤(PEG-IFNα-2b)/5FU併用療法を施行してきており,良好な治療奏功率,累積生存率を得ている.今回,その治療成績について検討した.[対象と方法]2006年8月から2009年9月までに当科で経験した門脈腫瘍浸潤を伴うHCC104例のうちPEG-IFNα-2b/5FU併用療法が施行された50例を対象として,治療奏功率,累積生存率,及び生存に寄与する因子に関して検討した.治療は肝動注リザーバーカテーテルをGDA coil法により留置後,1クール4週間としてPEG-IFNα-2b:50-100ugを週1回4週間皮下投与,5FUについては250mg/日を5投2休でリザーバーから4週間動注した.各クール終了時に4phase CTで評価した.[結果]症例50例のうち男性34例,女性16例であった.成因はHCV:30例,HBV:14例,NBNC:6例で,肝障害度はA:28例,B:22例,進行度はstage IV-A:50例(Vp3;34例,Vp4;16例)であった.尚,初発例は27例,再発例は23例であった.治療奏功率(CR+PR/全症例)は,68%であった.6,12,18,24ヶ月累積生存率は各々80.0,76.0,68.0,62.0%であった.生存に寄与する因子に関しては単変量解析においてAFP-L3低値と門脈浸潤(Vp3)が,多変量解析においては門脈浸潤(Vp3)が有意な因子として認められた.副作用では骨髄抑制NCI-CTC grade 1/2/3が10/4/0例,全身倦怠,食欲低下grade 1/2/3は8/4/0例に認められた.副作用を認めなかった症例は10例であった.[結論]PEG-IFNα-2b/5FU併用肝動注化学療法は進行肝細胞癌に対する有効な治療法の一つとして期待される.
索引用語