セッション情報 口演

肝癌2

タイトル O-078:

進行肝細胞癌術後補助化学療法における肝動注とソラフェニブの適応

演者 波多野 悦朗(京都大学肝胆膵・移植外科)
共同演者 瀬尾 智(京都大学肝胆膵・移植外科), 石井 隆道(京都大学肝胆膵・移植外科), 田浦 康二朗(京都大学肝胆膵・移植外科), 森 章(京都大学肝胆膵・移植外科), 海道 利実(京都大学肝胆膵・移植外科), 上本 伸二(京都大学肝胆膵・移植外科)
抄録 【背景】肝細胞癌(HCC)術後の再発予防を目的とした補助療法に確立されたものはない.腫瘍進行度や肝機能に応じて,再発のリスク,再発のパターン,再発臓器を予測し,個別化された再発予防法を確立する必要がある.【方法と結果】1.PET/CTを用いた再発パターン,再発時期の予測.術前PETを受け肝切除術が施行されたHCC 63例を対象に腫瘍と非腫瘍FDG集積の比(TNR)と術後初回再発形式(ミラノ基準MC外再発とMC内再発および再発なし)・時期(1年以内,1年以降の再発および再発なし)との関係を検討.多変量解析にてTNR値はMC外および1年以内再発の唯一の独立した術前予測因子であった.2.高度脈管侵襲を伴う進行HCC術後再発臓器の検討.高度脈管侵襲陽性例における肝切除では,肝切除のみでは術後早期の肝内再発を認めることより,2001年より周術期のFP肝動注を積極的に導入し,Vp3-4;47例(肝外転移を伴う9例を含む)の生存期間中央値(MST)は29M,Vv3;14例のMSTは33Mと向上.これらの症例の初回再発部位はVp3-4;肝81%,Vv3;肺50%であることより,2011年よりVv3の術後補助化学療法にsorafenibを導入.3.腫瘍径別術後初回再発臓器の検討.単発で大血管浸潤のない(vp1以下でvv1以下)293例を対象に腫瘍径を2cm以下,2-7cm,7cm以上の3群に分けて再発様式を検討.肝再発は全ての群で40%前後と同様であったが,肺転移は2cm以下,2-7cm,7cm以上群でそれぞれ9.3%,10.0%,24.0%であった.以上より,Vp3-4術後の再発予防にはFP肝動注を標準療法にし,Vv2-3,腫瘍径7cm以上,TNR>2の腫瘍は術後肺転移の再発高危険群と考えsorafenibを積極的に導入.これまで,Vv3症例1例,巨大腫瘍およびTNR高値で2例にsorafenibを術後に導入.6ヶ月間継続できた症例は21M,16M無再発生存中である.【結語】高度進行HCCにおいても,肉眼的治癒切除が可能であれば肝切除を施行し術後早期に補助療法を開始すべきで,肺再発超危険群にはsorafenibが期待される.
索引用語