セッション情報 | 口演肝癌3 |
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タイトル | O-082:非代償性肝硬変合併肝細胞癌に対するミリプラチン併用肝動脈化学塞栓療法の検討 |
演者 | 富山 恭行(川崎医科大学肝胆膵内科学) |
共同演者 | 吉岡 奈穂子(川崎医科大学肝胆膵内科学), 小山 展子(川崎医科大学肝胆膵内科学), 佐々木 恭(川崎医科大学肝胆膵内科学), 中島 義博(川崎医科大学肝胆膵内科学), 多田 大和(川崎医科大学肝胆膵内科学), 河瀬 智哉(川崎医科大学肝胆膵内科学), 仁科 惣治(川崎医科大学肝胆膵内科学), 原 裕一(川崎医科大学肝胆膵内科学), 吉田 浩司(川崎医科大学肝胆膵内科学), 日野 啓輔(川崎医科大学肝胆膵内科学) |
抄録 | 【目的】近年肝細胞癌(HCC)に対するミリプラチン(MPT)を用いた肝動脈化学塞栓療法(TACE)の知見が集積しつつあるが,非代償性肝硬変における有効性や安全性は十分に確立されていない.そこで非代償期におけるHCCに対するMPT併用TACEの是非を明らかにすることを目的とした.【方法】2010年3月から2012年3月の期間にMPTを用いてTACEを施行したHCC患者は186例であった.そのうちMPT初回投与かつ,その後もMPTでTACE単独治療を繰り返したChild-Pugh A(A群)60例とChild-Pugh B(B群)22例を対象とした.肝機能別にみたTACEの治療効果や予後に寄与する因子を多変量解析し,背景肝機能が及ぼす影響について検討した.【成績】Treatment effect(TE)で評価した全82例の奏効率は,TACE1ヵ月後の短期効果で68.9%,6ヵ月後の長期効果で36.5%であった.肝機能別ではそれぞれA群で69.4%,36.8%,B群で68.5%,35.3%と両群間に差はなかった.多変量解析の結果,A群の短期効果の非奏功因子は最大腫瘍径≧5cm(Odds ratio;6.2,P=0.02),短期効果で奏功が得られた後の増悪因子はTE4なし(Odds ratio;25.8,P<0.01)とJIS score≧(Odds ratio;15.1,P=0.02)であった.一方,B群の非奏功因子は腫瘍数≧4(Odds ratio;54.4,P=0.03),増悪因子はTE4なし(Odds ratio;5.1,P=0.04)であった.予後因子の多変量解析では,A群の傾向としてDCP<100(Hazard ratio;0.15,P=0.07)と初回TACE後の短期効果(Hazard ratio;0.29,P=0.06),B群ではT-Bil低値(Hazard ratio;0.49,P=0.02)が予後因子であった.有害事象はいずれも重篤な合併症には至らず,肝機能による差異もみられなかった.【結論】MPT併用TACEは,肝機能に及ぼす影響が軽微で安全性も高く,肝切除やRFAが適応とならないearly stageのHCCで最もその有効性が期待できる,今回の検討から,TACE後肝不全が危惧される肝内多発例やT-Bil高値例を除けば,非代償期でも有用な治療法である可能性が示唆された. |
索引用語 |