セッション情報 口演

肝癌3

タイトル O-084:

高度血小板減少を伴う進行肝細胞癌患者における化学療法導入のための部分脾動脈塞栓術および肝動脈化学塞栓術併用療法の有効性と安全性

演者 大岡 美彦(千葉大学消化器・腎臓内科学)
共同演者 金井 文彦(千葉大学消化器・腎臓内科学), 元山 天佑(千葉大学消化器・腎臓内科学), 小笠原 定久(千葉大学消化器・腎臓内科学), 鈴木 英一郎(千葉大学消化器・腎臓内科学), 太和田 暁之(千葉大学消化器・腎臓内科学), 千葉 哲博(千葉大学消化器・腎臓内科学), 横須賀 收(千葉大学消化器・腎臓内科学)
抄録 【目的】進行肝細胞癌においてネクサバールの登場以降,全身化学療法が科学的根拠のある治療選択肢の一つとなった.また,動注化学療法や他の化学療法とネクサバールとの併用,新規分子標的薬の開発も進んでいる.一方,肝細胞癌患者には背景に肝硬変と脾機能亢進症による高度血小板減少を伴う症例も稀ではなく,このような症例ではそもそも化学療法自体が困難である.そこで,高度血小板減少を伴う進行肝細胞癌において,化学療法導入を目的とした部分脾動脈塞栓術(PSE)と腫瘍制御を目的とした肝動脈化学塞栓術(TACE)の併用療法の有効性と安全性を検討した.【方法】血小板5万以下の進行肝細胞癌患者で切除や局所療法の適応でないか進行を認めた症例.PSは0,1.Child-Pugh class AまたはB.Cre≦基準値上限の1.5倍.以上を満たす症例を対象とした.PSEとTACEは同時に施行し,PSEは塞栓率40-60%を目標に施行,TACEは肝外転移の一部など,技術的に困難な部分を除く,全ての腫瘍に対して選択的に施行した.有効性および安全性の評価は1ヶ月後の血小板5万以上達成率,化学療法導入率,CTCAE ver4.0による有害事象の発生率によって評価した.【結果】2010年11月から2012年3月までに16名に施行された.血小板5万以上達成率75%(12/16),全身化学療法導入率50%(8/16)であった.血小板5万以上で全身化学療法導入されていない4症例は全例TACE有効と判断されたためであった.血小板5万以上非達成4症例の内訳は死亡,門脈血栓症,経過観察脱落,2回の追加PSEでも効果を認めない症例であった.1例死亡例を認めたが,癌を肝内多発かつ広範に認め,TACE自体が全肝TACEとなった症例であり,肝不全死であった.【結論】PSEと選択的TACEの併用は高度血小板減少を伴う進行肝細胞癌患者において化学療法導入を視野に入れた選択肢となりうる.
索引用語