セッション情報 口演

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タイトル O-086:

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)における非侵襲的な病態評価のための新しいツール―Proton MRSとFibroscan―

演者 磯辺 智範(筑波大学医学医療系)
共同演者 岡本 嘉一(筑波大学医学医療系), 平野 雄二(筑波大学附属病院放射線部), 志田 隆史(筑波大学医学医療系), 小野塚 太郎(筑波大学医学医療系), 高田 健太(筑波大学医学医療系), 正田 純一(筑波大学医学医療系)
抄録 【目的】非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の病態評価は,血液検査値が主な指標となるが,症例によっては,肝生検の侵襲的な検査が必要な場合も多い.本研究では,NAFLDにおける新たな非侵襲的な病態評価ツールとして,M-IHL,IMCL,ECMLのそれぞれと有意な正相関を示した.Proton MRSとFibroscanが有用であるかについて検討した.
【方法】対象は,NAFLDと診断した37例および肝疾患のない非肥満者23例とした.3 T MR装置にて肝および両側大腿四頭筋のProton MRSを施行し,IHL(脂肪信号/水信号,M-IHL),IMCL(mM)およびEMCL(mM)を解析した.また,Fibroscanのcontrolled attenuation parameter(CAP)を用いてIHL(C-IHL)を測定した.各測定値と体成分分析装置による体組成値を比較検討した.
【結果】Proton MRS解析:NAFLDは対照に比して,M-IHL値(0.14±0.14,mean±SD vs. 0.02±0.03;P<0.01),IMCL値(453±155 vs. 281±117;P<0.01),ECML値(1240±898 vs. 529±363;P<0.05)は有意に高値であった.
CAP解析:NAFLDにおけるC-IHL値(265±43)は,対照(202±27)に比して有意(P<0.05)に高値であった.
統計解析:M-IHL値とIMCL値(r=0.39,P<0.05),M-IHL値とECML値(r=0.52,P<0.01),M-IHL値とC-IHL値(r=0.79,P<0.01)は,有意の正相関を示した.CAP値は,M-IHL,IMCL,ECMLのそれぞれと有意な正相関を示した.また,M-IHLおよびC-IHL値の両者は,AST,ALT,γ-GT,ChE,TG,FBS,HbA1c,insulinおよびferritin値と有意の正相関を示した.
【結語】Proton MRSとFibroscan(CAP)は,肝と骨格筋における異所性脂肪蓄積を非侵襲的にとらえることが可能であり,NAFLDの病態評価に有用な診断ツールであると考えられる.
索引用語