セッション情報 口演

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タイトル O-088:

肝硬度と門脈圧亢進症評価におけるReal-time tissue elastographyとTransient elastographyの比較

演者 広岡 昌史(愛媛大学大学院先端病態制御内科学)
共同演者 日浅 陽一(愛媛大学大学院先端病態制御内科学), 恩地 森一(愛媛大学大学院先端病態制御内科学), 越智 裕紀(愛媛大学大学院先端病態制御内科学), 小泉 洋平(愛媛大学大学院先端病態制御内科学), 徳本 良雄(愛媛大学大学院先端病態制御内科学), 阿部 雅則(愛媛大学大学院先端病態制御内科学), 松浦 文三(愛媛大学大学院先端病態制御内科学), 熊木 天児(愛媛大学大学院先端病態制御内科学)
抄録 【背景】本年より肝硬度測定においてTransient elastography(TE)が保険収載され今後普及が見込まれている.一方でReal-time tissue elastography(RTE)やARFIなど他の測定装置により硬度測定は可能であるが,その利点と欠点は明らかにされていない.【目的】RTEとTEにより肝・脾硬度測定を行い,その測定値を比較することによりRTEとTEの利点と欠点を明らかにする.【方法】対象は2012年4月以降にRTEとTEを使用し肝・脾硬度測定を行った64例.内訳はRFAの人工腹水症例が20例.急性肝炎例3例.閉塞性黄疸5例.肝静脈圧測定症例が16例,食事摂取前後で測定した症例が20例であった.RFAの際には人工腹水注入直前と直後に肝硬度を測定した.急性肝炎例では入院時と肝機能改善するまで測定をした.閉塞性黄疸例では胆道ドレナージ前後で測定した.食事摂取前後で測定した症例は食直前,食後30分ごとに2時間後まで測定した.各々の条件においてRTEとTEの測定値を比較した.【成績】TEによる肝硬度測定が可能であった症例は96.9%(平均IQR;5.0,成功率70.9%),脾臓は75%(平均IQR;8.3,成功率65.1%)が測定可能であり,測定不能な症例が多く存在した.RTEは全例肝・脾硬度測定が可能であった.一方,TEはRFA症例において人工腹水注入直後は全例肝硬度が測定できなかった.また急性肝炎例,胆道ドレナージ前後,食事前後でTEの測定値が有意に変動したのに比べRTEは有意な変動はみられなかった.脾臓硬度とHVPGの相関はTEがr=0.78,P<0.0001,RTEがr=0.89,P<0.0001でRTEの方が相関は良好であった.【結論】TEは様々な因子により硬度測定値が変動する.一方でRTEは有意な変動が見られず,RTEによる硬度値は線維化をより正確に反映する.硬度値測定の成功率も高くRTEの方が臨床的有用性は高いと考えられる.
索引用語